本記事の内容について
今回の記事では先日、トヨタ自動車から発表されたGRカローラ改良版の改良ポイントを大阪オートメッセに展示されていた実車を見ながら解説していきます。
カローラの名を冠しながらGRが本格的に手掛けたスポーツハッチバックとして誕生し、近年は世界中で大きな注目を集めていますが、さらに今回の改良によってその魅力が増したのではないでしょうか。
今回のモデルから限定販売でもなくなったことで要注目の1台となっています。

基本情報
まずはグレード構成と車両価格についてです。
改良型のGRカローラはこれまで設定されていたような複数のグレード設定はなく、RZグレード単一グレードとなっており、MTもしくは改良型で初搭載となるATかによって価格が異なり、ご覧の通りとなっています。

改良前のMT仕様と比較すると約40万円程度の価格アップとなっており、この価格アップに見合う改良がなされているか要注目です。
続いてパワートレーンについてです。
GRカローラにはGRヤリス同様、1,6リッターの直列3気筒ターボエンジンが搭載されており、GRfourと呼ばれる四輪駆動システムを組み合わせるという基本構成が採用されています。

最高出力が304馬力を発揮する点は改良前から変更ありませんが、トルクが30Nmアップの400Nmとなっている点がポイントです。このトルクの向上により中回転域のトルクが増していることでコーナー立ち上がり時の加速フィールがさらに向上し、様々なシチュエーションでレスポンスの良い走りを実現するとのことです。

また、このGRfourシステムでは3段階に渡る前後トルク配分の切り替えが可能で、普段は安定感のある配分を選びつつ、サーキットやワインディングではFRライクな走りが楽しめるなど、幅広いドライビングスタイルに対応できる点が魅力です。私もGRヤリスでGRfourを体感したことがありますがスポーツモードとトラックモードで走行フィールが大きく変わり、車の特性を学ぶという意味でも非常に面白いシステムでした。

そして今回注目の改良ポイントの一つとしてGRヤリスの進化型モデルに採用された新開発8弾AT、GR-DATがGRカローラにも搭載されたことがあります。レーシングドライバーや車内評価ドライバーのフィードバックを取り入れ、限界領域から日常使いまで一貫して野性味と快適さを追求したというこの8段ATはブレーキやアクセル操作を読み取り、プロドライバー並みのシフトタイミングを実現するのが特徴です。

特に5ドアということで日常使いも重視するGRカローラにとってはスポーツ走行の間口を広げる非常に魅力的なパワートレーンの選択肢になっていると言えます。従来は6速マニュアル専用モデルというイメージが強かったGRカローラですが今回の改良によりより多くのユーザーがこの高いパフォーマンスを味わえるようになるのではないでしょうか。
さらにこの改良された運動性能をより引き出すためのサーキットモードも今回の改良で実装されました。サーキットモードではご覧の国内のサーキットにてアンチラグの制御やスピードリミッターの解除
専用のメーター表示などが開放され、本来持つ車のポテンシャルを発揮できる車好きには非常に魅力的な機能となっています。


外観紹介
外観紹介、まずはボディーカラーについてです。
GRカローラにはご覧の全5色のカラーリングが設定されており、どのカラーリングもレーシーな雰囲気が漂うものとなっています。ただ前回の再販時に限定販売されたブルーは今回設定がないようです。

続いてフロントフェイス周りについてです。
フロントフェイスにはGRシリーズでおなじみのマトリクスファンクショナルグリルが大きく口を開け、
今回の改良によりフォグランプが廃止され、グリル開口幅がより拡大されることで冷却性能と空力性能の向上が実現されています。



さらに改良モデルではGR-DAT搭載車に水冷式ATFウォーマーやクーラー、サブラジエーターなどを標準装備し、エンジンとトランスミッションの冷却性能を強化しています。ブレーキ冷却用のダクトもフロントグリル脇に用意されており、高出力のエンジンに見合ったブレーキの冷却性能を確保している点も
スポーツモデルらしいこだわりです。

正面から見るとシャープな切れ長のヘッドライトの外側にまで張り出すフロントフェンダーの存在感が際立っており四輪駆動による安定感と只者ではない迫力をしっかり主張しているのが印象的です。
ヘッドライトはBi-beam機能搭載で単眼でハイビームとロービームを切り替えられる仕組みになっており、視認性の向上とシャープな見た目の両立を実現しています。

サイドに回り込んできました。
ボディサイズは全長4410mm、全幅1850mm、全高1480mm、ホイールベース2640mmとなり、ベースであるカローラスポーツから全長と全幅、そして全高がそれぞれ拡大されています。

ただしこれは車室空間の拡大を狙ったわけではなく、四隅にタイヤを踏ん張らせるためのトレッド拡大が主な目的です。さらにGRヤリスとはホイールベースが80mm長くなっていることで直進安定性に重きも置かれている点がGRカローラの特徴と言えます。
サイドから見るとフロントとリアのオーバーフェンダーが力強いラインを描き、エアダクトやサイドスカートのGRfourロゴもアクセントとして機能しています。ルーフにはマーブル柄のカーボン素材が採用されており、重量を抑えつつ剛性を確保するGRヤリスと共通する装備を搭載している点もポイントです。
ホイールデザインはこのようになっており、GRブランド共通衣装のホイールが採用されています。タイヤサイズは23540R/18インチのものが採用されています。

足回りには改良が加えられ、ロアアームの締結剛性を高める特別なボルトが採用されるなど操舵応答性と車両の安定性をさらに高めるための施策が実施されています。今回の改良では足回りにも多くの改良が施されており、トレーリングアームの取り付け点を挙げることによる加速時のリアの沈み込みの低減やシャシー部品の締結ボルトに締結剛性の高いボルトを採用することでステアリング操作に対する応答性の向上などが行われています。特に足回り関係の改良内容については改良前の車両にも織り込むことが可能となっているため、改良前のオーナーの方にとっても朗報かと思います。

リアに回るとやはり目を引くのは中央と左右の3本出しマフラーです。エンジン出力を向上させるための排気効率はもちろんリアビューにインパクトを与える大きな要素でもあります。カローラスポーツの複雑なボディーラインにフェンダーの拡大などを追加した造形は他のホットハッチと比較しても抜群の迫力を誇り、改良によって足回りの調整や冷却性能の強化が図られたとはいえ、サイドデザインやリア周りの基本的なシルエットは大きく変わっておらず、初期モデルの完成度の高さを踏襲しているように見えます。


内装紹介
内装紹介、まずはトランクルームからです。
印象的な点としては4WD仕様となっているにもかかわらず、全く荷室容量が犠牲となっておらず、レース車両の容量が担保されています。

少しトランク床が高いため、荷物の積み下ろしに苦労しそうではありますが、スポーツカーということを考えると実用性はかなりのものであると言えます。
また、ご覧の通り後席を倒すことでトランプ容量を拡大することが可能であり、こうするとタイヤ4本を余裕で搭載可能かと思われますのでサーキット走行も余裕でこなせそうですね。

続いて運転席周りになります。
GRカローラの内装色はブラック単色、もしくはブラックにレッドステッチが施されたブラックレッドの組み合わせが用意されています。またこの展示車の仕様となりますが、オプションとして設定されているスポーツパッケージではレッドのシートベルトなどが与えられます。


ドア内張りはこのようになっており、改良前後で大きな変更は加えられていませんが、手で触れる部分にはソフトパッドが使用され、レッドステッチなどもあしらわれていることでスポーティな見た目の内装となっています。

ステアリングはこのようになっており、前述の通りスポーツパッケージ装着車のため、ウルトラスエード素材にレッドのセンターマークが備わったステアリングとなっており、非常にスポーティーなステアリングとなっています。通常使用では本革巻きとなっており、左側にオーディオ操作系、右側に運転支援系のスイッチが集約されています。ちなみに快適装備であるステアリングヒーターをスポーツパッケージ仕様では選択できず、通常仕様でもオプションとなっていますが、好みに応じてオプション選択できる選択肢を与えられているのはむしろ好印象ですね。


メーターデザインはこのようになっており、12.3インチのフル液晶メーターが採用され、状況に応じた様々な情報表示が可能となっており、GR車らしいスポーツ走行に特化した情報表示も可能となっています。またヘッドアップディスプレイも装備されていることで運転に必要な情報を視線を逸らさずに得ることができます。

予防安全装備も充実しており、右左折時にも対応したプリクラッシュセーフティや先行者を追従するレーダークルーズコントロール機能などが装備されています。ただMT仕様の場合、レーダークルーズコントロールが全車速に対応していなかったり、車両がカーブなどを検知し運転支援を行うプロアクティブドライブアシストの機能が装備されないなどの差別化ポイントがある点は注意です。

ナビ画面はこのようになっており8インチナビが装着されています。少し視界の稜線とかぶり気味であり、圧迫感を感じさせるものとなっているのが少し残念ですね。ちなみに通常は6スピーカーのオーディオシステムとなっていますが、オプションでJBL製の8スピーカーのオーディオシステムが選択可能となっています。

ナビ画面下部にはエアコン操作系スイッチが物理ボタンとして残されており、その下にはちょっとした小物入れが設置されています。この位置にオプションで置くだけ充電機能を装備することも可能です。

その後ろにはこの車両はAT仕様であったため、AT仕様のシフトノブと運転モード切り替えスイッチが集約されており、その後ろには4WD制御の切り替えスイッチとペットボトルホルダー、手引きのサイドブレーキが配置されています。シフトノブやサイドブレーキなどもスポーツパッケージではウルトラスエード仕立てとなっており、操作性の良い素材が使われていることで誤操作などが起こりづらい配慮がなされています。通常使用では本革仕立てとなります。


その後ろにはフラットな小物置きとシガーソケット、usbポートがセンターアームレストに備え付けられています。

シート形状はこのようになっており、こちらもスポーツパッケージ用のセミバケットシートとなっており、肩口までしっかり支えてくれるサイドサポートの形状によりスポーツ走行時においても体がぶれることなく運転可能な形状となっています。

通常仕様の場合はこちらのシート形状となっており、ご覧の通りこちらの形状でも十分なホールド性を担保してくれそうです。細かな違いとしてスポーツパッケージシートはヘッドレストが一体型であったり、シートバックポケットが装備されなかったりとよりスパルタンな仕様となっているようです。またシートヒーターはオプションとなっています。

続いて後席についてです。
後席ドア内張りはこのようになっており、前席同様に手で触れる部分にはソフトパッドがあしらわれていたりと前席並みの質感が担保されていました。ドアの開口幅が少し狭く、サイドスカートもせり出しているため乗り込みときの足の運びとしてはやや窮屈かもしれません。

改良前後において特に後席周りの装備に大きな変更はありません。
足元スペースとしては身長170センチの私の場合で手のひら1枚分と必要十分なスペースが担保されており、頭上スペースも特に問題ありません。

少し気になるのが前方視界であり、GRカローラに装備されているスポーツシートの圧迫感が大きく、開放感という意味では少し物足りない印象です。

センタートンネルの張り出しとしては見にくいですが、4WD車両ということもあり、張り出しが大きく5人乗り車両ではありますが、真ん中に座る人は足の置き場に少し苦労しそうです。

センターアームレストはペットボトルホルダー付きのものが備え付けられています。

後席シート形状はこのようになっており、本革とアルカンターラの組み合わせとなっていますが、ご覧の通りサイドの張り出しなどはあまりなく、スポーツドライブに対するサポート性としてはそこまで大きくないような印象でした。

5人乗れるというのはGRカローラの大きな魅力ではありますが、5人乗り状態でスポーツ走行ができるということではなく、スポーツ走行を楽しめるポテンシャルを発揮しつつ日常走行にも適用できる二面性を持った車であることが言えそうです。
カスタム仕様
そしてオートメッセに展示されていたもう1台のGRカローラがこちらのGROWデザイン仕様です。
こちらはスーパー耐久シリーズに参戦されている佐々木選手監修のエアロパーツとなっており、フロントリップやウィングの追加による空力性能アップなどが図られており、GRカローラの戦闘力を引き上げる仕様となっています。こちらも非常に魅力的なカスタムパーツとなっていますね。





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