本記事の内容について
2026年9月21日、日産自動車および北米日産は、米国市場において同社の主力SUVである新型「ローグ ハイブリッド(Rogue Hybrid)」を正式に発表しました。
「ローグ」という車名は、日本市場において絶大な人気を誇るミドルサイズSUV「エクストレイル」の北米での名称であり、両車は兄弟車の関係にあります。今回の発表で最も注目すべき点は、日産が誇る独自の電動駆動ハイブリッドシステム「e-POWER」が、ついに北米市場へ初めて導入されたことです。さらに、このシステムは新開発の発電専用1.5リッターターボエンジンを組み合わせた「第3世代」へと進化を遂げており、内燃機関として驚異的な熱効率を達成しています。
また、ハードウェアの進化にとどまらず、ソフトウェアの領域でも革新が起きています。車載インフォテインメントシステムに生成AIである「Google Gemini」を統合することで、より直感的で高度なユーザー体験を提供する次世代のスマートビークルへと変貌を遂げています。
本記事では、この新型ローグ ハイブリッドの公式発表内容に基づき、車両のスペックや価格帯、第3世代e-POWERの緻密な技術的仕組み、そして進化した運転支援システム「ProPILOT Assist」の詳細を深掘りします。さらに、この北米での発表が日本の自動車市場や今後の新車購入検討者に対してどのような意味や影響をもたらすのかについて、専門的な視点から分かりやすく徹底解説します。

この記事でわかること
- 新型ローグ ハイブリッドの北米市場における発表概要と発売スケジュール
- グレード構成および米国での販売価格帯の詳細
- 新開発1.5Lターボエンジン(ZR15DDTe)を採用した「第3世代e-POWER」の仕組みと技術的ブレイクスルー
- 「STARCコンセプト」がもたらす熱効率42%の理由と燃費性能
- 生成AI「Google Gemini」を統合した次世代インフォテインメントシステムの機能
- 新型レーダーとカメラで機能が大幅に向上した「ProPILOT Assist」の全貌
- このニュースが日本の購入検討者や自動車業界の動向に与える影響と今後の展望
今回の発表内容
まずはじめに、今回発表された新型ローグ ハイブリッドのニュースの全体像を把握するため、主要な情報を以下の表に整理しました。
| 項目 | 内容 |
| 発表日 | 2026年9月21日 |
| 発表主体 | 日産自動車株式会社 / 北米日産 |
| 対象車種 | 新型 ローグ ハイブリッド(北米市場向けミドルサイズSUV) |
| 発売開始時期 | 2026年秋(SRグレード一部仕様先行)、2027年初頭(全グレード) |
| 技術的ハイライト | ・北米市場初となる「e-POWER」の搭載 ・新開発1.5Lターボを用いた第3世代システムの採用 ・Google Gemini対応インフォテインメントの導入 ・センサー刷新によるProPILOT Assistの機能向上 |
| 価格帯(MSRP) | $35,490 〜 $43,490(米国メーカー希望小売価格) |
| 生産拠点 | 日産自動車九州(日本国内で生産し北米へ輸出) |

今回特に注目したいポイント
今回の新型ローグ ハイブリッドの発表は、単なる北米市場でのラインアップ追加という枠に収まらず、日産自動車のグローバルな事業戦略と技術の進化の方向性を明確に示す非常に重要なマイルストーンです。自動車業界全体の潮流を踏まえ、特に注目すべき3つの背景と理由を詳細に解説します。
1. 北米市場におけるハイブリッド需要の急増と戦略的転換
近年、世界的な脱炭素化の動きの中で電気自動車(EV)へのシフトが推進されてきましたが、北米市場においては充電インフラの整備状況や広大な移動距離といった現実的な課題から、EVの成長スピードが一時的に鈍化し、代わりにハイブリッド車(HEV)の需要が急速に拡大しています。日産はこれまで北米市場において、「リーフ」や「アリア」といった純粋なEVと、従来型のガソリン車を軸にビジネスを展開してきましたが、この市場の急激な変化に対応するため、ついに独自のシリーズハイブリッドシステムである「e-POWER」の投入を決断しました。
日産は長期ビジョンの中で、2030年度までに米国市場で年間100万台の販売を目指すという野心的な目標を掲げています。米国における日産のコアモデルであり、最量販SUVであるローグに、北米の道路環境や顧客の嗜好に合わせて専用チューニングを施したe-POWERを搭載することは、この成長戦略を根底から支える極めて重要な一手となります。
2. 内燃機関の限界に挑む「第3世代e-POWER」の革新
現在、日本市場で販売されているエクストレイル(T33型)には、圧縮比を連続的に可変させる先進的な「VCターボエンジン(KR15DDT)」を発電用に使用した第2世代のe-POWERが搭載されています。しかし、今回の新型ローグ ハイブリッドには、発電専用として新たに設計された1.5リッター直列3気筒ターボエンジン(ZR15DDTe)を用いた「第3世代e-POWER」が採用されました。
この第3世代システムの最大のブレイクスルーは、「STARC(スターク)コンセプト」と呼ばれる独自の燃焼技術を量産化したことにあります。これにより、内燃機関としては驚異的とも言える熱効率42%を達成しました。エンジンを車輪の駆動から完全に切り離し、効率的な発電のみに専念させることで、ハイブリッド車特有のエンジンノイズを極限まで抑え込み、同時に優れた燃費性能を引き出すことに成功しています。
3. SDV化の加速と「Google Gemini」による次世代のユーザー体験
現代の自動車開発において、ハードウェアの性能向上と同等以上に重要視されているのが、ソフトウェアによってクルマの機能や価値を定義・更新する「SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)」のアプローチです。新型ローグ ハイブリッドは、このSDV化の最前線に位置するモデルと言えます。
特に注目すべきは、車載インフォテインメントシステムにGoogleの生成AIモデルである「Google Gemini」を統合した点です。従来の音声認識システムが決められたコマンドにしか反応しなかったのに対し、Geminiを搭載したシステムは、ドライバーの曖昧な要望や複雑な文脈を理解し、より自然な対話を通じてナビゲーションの目的地設定や車両機能の操作をサポートします。これにより、クルマ単体がまるで優秀なパーソナルコンシェルジュのような役割を果たすようになり、ドライバーと自動車の関わり方が劇的に変化します。
グレード構成と車両価格
北米向けの新型ローグ ハイブリッドは、ユーザーの予算や好みに応じて選択できるよう、主に3つのベースグレード(SV、SR、Platinum)で構成されています。特筆すべきは、降雪地域だけでなくオンロードでの走行安定性を高めるため、すべてのグレードにデュアルモーターによる電動AWD(全輪駆動)が標準装備されている点です。
グレード別価格と発売時期
| グレード名称 | 駆動方式 | 車両本体価格(MSRP) | 発売予定時期 |
| SV AWD | e-POWER (AWD) | $35,490 | 2027年初頭 |
| SV AWD (with SV Premium Pkg) | e-POWER (AWD) | $37,590 | 2027年初頭 |
| SR AWD | e-POWER (AWD) | $37,490 | 2027年初頭 |
| SR AWD (with SR Tech Pkg) | e-POWER (AWD) | $41,490 | 2026年秋 |
| Platinum AWD | e-POWER (AWD) | $43,490 | 2027年初頭 |
※MSRP(Manufacturer’s Suggested Retail Price)はメーカー希望小売価格であり、税金、登録諸費用、および約$1,575の目的地手数料(Destination charge)は含まれていません。

各グレードの特徴と位置付け
新型ローグ ハイブリッドのラインアップは、それぞれ明確なキャラクターを持たせて設定されています。
- SV(ベースグレード) ラインアップのエントリーを担うグレードですが、デュアルモーターAWDをはじめ、12.3インチの大型タッチスクリーン、ワイヤレスのApple CarPlayおよびAndroid Auto、そして最大15Wの急速充電に対応したQi2マグネット式ワイヤレス充電器など、現代のSUVに求められる必須装備が標準化されています。実用性を重視するユーザーにとって非常にコストパフォーマンスの高い選択肢です。
- SR(スポーティグレード) よりダイナミックな外観を求めるユーザー向けのグレードです。専用デザインのスポーツフロントバンパー、専用アロイホイール、そしてグロスブラックの各部アクセントが施され、引き締まった印象を与えます。2026年秋に先行発売される「SR Technology Package」装着車には、上位グレードと同等の14.3インチデュアルディスプレイやGoogle built-inが追加され、先進技術をいち早く体験できます。
- Platinum(最上級ラグジュアリーグレード) プレミアムな車内空間を追求した最上級グレードです。14.3インチディスプレイやGoogle Gemini対応システムが標準装備されるほか、10スピーカーからなるBose®プレミアムオーディオシステム、そして運転席と助手席で個別にスマートフォンを充電できるデュアルワイヤレス充電器など、ラグジュアリーSUVに匹敵する充実した装備を誇ります。
米国市場において、ハイブリッドSUVカテゴリーはトヨタ RAV4やホンダ CR-Vなどが鎬を削る激戦区です。新型ローグ ハイブリッドのベース価格である約$35,490(日本円換算で約530万円前後)は、先進的なe-POWERシステムと標準装備の豊富さを考慮すると、競合他社に対抗しうる非常に戦略的かつ魅力的な価格設定であると評価できます。
パワートレーンの特徴:第3世代「e-POWER」の真髄
新型ローグ ハイブリッドの心臓部には、日産の電動化技術の結晶である「e-POWER」の最新バージョンが搭載されています。ハイブリッドという呼称が用いられていますが、その構造は一般的なストロングハイブリッドとは大きく異なります。
エンジンおよびモーターの基本スペック
| 項目 | スペック詳細 |
| パワートレーン種別 | 第3世代 e-POWER(シリーズハイブリッド方式) |
| 搭載エンジン型式 | ZR15DDTe(1.5L 直列3気筒DOHCターボ) |
| エンジン最高出力 | 148 hp (約150 PS) / 5,000 rpm |
| エンジン最大トルク | 171 lb-ft (約232 Nm) / 3,600 rpm |
| フロントモーター出力 | 202 hp (約205 PS) / 243 lb-ft (約330 Nm) |
| リアモーター出力 | 134 hp (約136 PS) / 144 lb-ft (約195 Nm) |
| システム総合出力 | 225 hp (約228 PS) |
| 駆動方式 | デュアルモーター電動AWD(e-4ORCE技術に準拠) |
| ハイブリッドバッテリー | 1.67 kWh リチウムイオンバッテリー |

技術の仕組み:e-POWERとはどのようなシステムか
e-POWERは、「シリーズ方式」と呼ばれるハイブリッドシステムを採用しています。最大の特徴は、搭載されているガソリンエンジンが「完全に発電のみに使用される」という点です。エンジンと駆動輪は機械的に繋がっておらず、エンジンが直接タイヤを回すことは一切ありません。
エンジンが稼働して発電した電力は、1.67kWhのリチウムイオンバッテリーに一旦蓄えられるか、あるいは直接インバーターを経由して前後の駆動用電気モーターへ供給されます。そして、そのモーターの力だけで車両は走行します。これにより、外部からプラグインして充電する手間を省きながら、電気自動車(EV)特有のタイムラグのない瞬発力、滑らかな加速、そして圧倒的な静かさを味わうことができる画期的なシステムです。
新開発「ZR15DDTe」エンジンと熱効率42%の秘密
第3世代e-POWERの核となるのが、新たに専用開発された1.5リッター直列3気筒ターボエンジン「ZR15DDTe」です。一般的な自動車のエンジンは、発進から高速巡航まで様々な車速や負荷に合わせて回転数を変動させなければならず、常に最も効率の良い状態で燃焼させることは困難です。しかし、e-POWERのエンジンはタイヤの駆動から解放されているため、あらかじめ決められた「最も発電効率が良い回転域」に固定して定点運転させることが可能です。
日産はこの利点を最大限に活かすため、「STARC(Strong Tumble & Appropriately stretched Robust ignition Channel)」と呼ばれる革新的な燃焼コンセプトをこのエンジンに導入しました。この技術は、燃焼室内に強力な縦方向の空気の渦(タンブル流)を意図的に作り出し、そこに点火プラグの火花を確実に伸ばして放電チャネルを安定させることで、希薄な混合気や大量のEGR(排気ガス再循環)を導入した状態でも、極めて安定した燃焼を実現するものです。
さらに、吸気ポートの形状を最適化するために世界初となるコールドスプレー工法によるバルブシートを採用し、大型ターボチャージャーで大量の空気をシリンダー内に押し込むことで、内燃機関の限界に迫る「熱効率42%」を達成しています。熱効率が高いということは、ガソリンが持つエネルギーを無駄な熱として捨てることなく、より多くの電気エネルギーへ変換できることを意味し、これが新型ローグ ハイブリッドの優れた燃費性能の根源となっています。

5-in-1電動ユニットによる小型化と高効率化
第3世代e-POWERでは、モーター、インバーター、発電機、減速機、増速機という主要な5つの構成部品を一体化した「5-in-1 e-POWER電動ユニット」が採用されています。このモジュール化により、パワートレーン全体のコンパクト化と軽量化が図られるとともに、部品同士を強固に連結することで剛性が向上し、走行時の振動や共振が劇的に抑え込まれています。
また、モーター内部のコイルには、隙間なく高密度に巻き付けることができる平角線コイルを採用し、大電流を効率よく流せるように改良されました。インバーターには両面冷却構造の最新世代パワーモジュールが組み込まれており、特に高速走行時など高負荷環境下でのエネルギー損失を低減し、全体的な効率を向上させています。
e-PedalとデュアルモーターAWDがもたらす革新の走り
走行性能の面では、全グレードに標準装備されるデュアルモーター電動AWDが大きな役割を果たします。フロント202hp、リア134hpの高出力モーターを組み合わせ、システム合計で225馬力を発揮します。このシステムは、前後のモーターの駆動力(トルク)を1万分の1秒単位で常時監視し、路面状況やコーナリングの軌跡に合わせて瞬時に最適配分します。これにより、雪道などの悪路走破性だけでなく、乾燥した舗装路でも車体が路面に吸い付くような異次元の安定性と旋回性能を提供します。
さらに、アクセルペダルの操作だけで車速を自在にコントロールできる「e-Pedal(イーペダル)」が搭載されています。アクセルを緩めることで回生ブレーキが強力に働き、そのまま停止まで持ち込むことが可能です。新型ローグ ハイブリッドでは、この機能に「スムースストップ(Smooth Stop)」という新技術が追加されました。これは、車両が完全に停止する直前のブレーキ油圧をシステムが自動的かつ精密に制御し、車体が前後に揺れる不快なピッチング(カックンブレーキ)を抑え込み、熟練ドライバーのような極めて自然で滑らかな停止感を実現する機能です。
燃費性能と航続距離
新型ローグ ハイブリッドは、卓越した動力性能と静粛性を持ちながらも、日常使いにおいて非常に優れた燃費性能を発揮します。北米の環境保護庁(EPA)のテストサイクルに基づいた日産の社内測定値は以下の通りです。
予想燃費(日産社内測定値)
- 市街地(City): 40 mpg (換算:約 17.0 km/L)
- 高速道路(Highway): 36 mpg (換算:約 15.3 km/L)
- 総合燃費(Combined): 38 mpg (換算:約 16.2 km/L)
従来、シリーズハイブリッドシステムは、エンジンが直接タイヤを駆動する方式に比べて、高速道路を一定速度で巡航するシーンでの効率が若干劣るとされてきました。しかし、新型ローグ ハイブリッドに搭載された第3世代e-POWERは、先述のインバーター両面冷却構造やSTARCエンジンによる発電効率の底上げにより、高速道路でも36 mpgというミドルサイズSUVとしては非常に優秀な数値を記録しています。これにより、ドライバーは日常の通勤から週末のロングドライブまで、給油の頻度を意識することなく長距離を快適に移動することが可能となります。
外観デザインの紹介
エクステリアデザインは、都市の洗練さと大自然を走破するタフさを融合させた「Refined and Tough(洗練と力強さ)」というテーマに基づいて開発されました。
エクステリアの主な特徴
- フロントフェイスとグリル 日産のアイデンティティである「Vモーショングリル」がよりモダンに進化し、幾何学的な六角形(ハニカム)パターンのグリルが採用されています。これに統合されたシャープなLEDヘッドライトが、ワイドで踏ん張り感のあるフロントマスクを形成し、道路上での存在感を際立たせています。
- サイドビューとこだわりのディテール クリーンで張りのあるボディサイドパネルに、エッジを効かせたフェンダーアーチが組み合わされ、力強いスタンスを表現しています。興味深い点として、リアサイドパネルの造形には、日本の象徴である「富士山と雲」のシルエットをモチーフにした隠しデザイン(イースターエッグ)が施されており、日産車としてのルーツと遊び心を感じさせる仕上がりとなっています。
- リアデザイン リア周りでは、車幅いっぱいに水平に伸びるフルLEDテールライトが新たに採用されました。これにより、夜間における被視認性が向上するとともに、後続車に対してワイドで安定感のある印象を与えます。
- ボディカラーの展開 ボディカラーは、全8色のモノトーンカラーと、ルーフをブラックで塗り分けた5種類のツートーンカラーが設定されています。注目は、太陽の光を浴びると赤や黄色に煌めく美しい新色「Horizon Blue Pearl Metallic(ホライズン ブルー パール メタリック)」や、日産のフルサイズSUVであるアルマーダにも採用された重厚な「Alpine Metallic」などの新規カラーが追加されたことです。



内装デザインと最新インフォテインメント
インテリアは、クラス最高水準の広さと快適性を確保しながら、最新のデジタルトレンドを惜しみなく投入した空間へと仕上がっています。



Google Geminiがもたらす次世代のAI車内体験
新型ローグ ハイブリッドの内装における最大の目玉は、上位グレード(Platinumに標準、SRにオプション)に搭載される14.3インチデュアルディスプレイを中心としたインフォテインメントシステムです。
このシステムには「Google built-in(Google組み込み)」技術が採用されており、手持ちのスマートフォンを接続しなくても、車両自体の通信機能を使ってGoogle MapsやGoogle Playストアのアプリケーションを直接利用することができます。
そして最も画期的なのは、Googleの高度な生成AIモデルである「Google Gemini」が車載システムとして対応している点です。これまでの音声操作は、「ナビを〇〇に設定して」「エアコンを22度にして」といった定型的なコマンドを正確に発話する必要がありました。しかしGeminiの統合により、AIが文脈やニュアンスを理解できるようになります。例えば、「少し肌寒いから車内を暖かくして」「この近くで景色の良くて評価が高いカフェを探して」といった自然な会話形式で、ナビゲーションの検索や車両の空調コントロールなどをシームレスに行うことが可能になります。これは、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の進化を象徴する機能であり、運転中のドライバーの視線移動や操作の手間を大幅に軽減します。


快適装備と実用性の追求
- ゼログラビティシート フロントシートには、無重力状態における人間のリラックスした姿勢を医学的に分析して設計された「ゼログラビティシート(Zero Gravity seating)」が採用されています。体圧を広範囲に分散させることで、長距離ドライブ時の筋肉の疲労や血流の悪化を最小限に抑えます。
- ベンチレーション機能の初採用 歴代のローグシリーズとして初めて、フロントシートにシートクーラー(ベンチレーション機能)が採用されました。エアコンの冷気をシート内部に循環させることで、夏場のドライブでも背中や太ももの不快な蒸れを防ぎ、快適な環境を提供します。
- 徹底した静粛性対策 第3世代e-POWERによるエンジン稼働音の減少に加え、車両全体の遮音性能が引き上げられています。空気抵抗を減少させて風切り音を抑えるエアロダイナミックミラーの採用や、音の透過を防ぐアコースティック(遮音)ガラスの装備、そしてドア周囲のウェザーストリップ(シール材)の密閉性向上により、開発陣が「リビングルームのような静けさ」と表現するクラス最高レベルの静粛空間を実現しています。
- ファミリーユースを見据えた機能性 室内空間は、ハイブリッドSUVクラスの中で最大級のフロントヘッドルーム(頭上空間)とレッグルーム(足元空間)を確保しています。また、後席のドアはほぼ直角となる約90度まで大きく開くように設計されており、小さな子供をチャイルドシートに乗せ降ろしする際の負担を大きく軽減します。さらに、リアシートにはLATCHアンカー(チャイルドシート固定金具)が5箇所設置されており、中央の座席にもチャイルドシートを安全に設置できるなど、子育て世代のファミリー層に対するきめ細やかな配慮がなされています。



安全装備・運転支援システム
日産の先進運転支援技術である「ProPILOT Assist(プロパイロット アシスト)」も、新型ローグ ハイブリッドに合わせて最新世代(ProPILOT Assist 2.1相当)へと大幅なアップデートが施されています。
センサーの刷新と自然な制御の実現
ハードウェア面では、車両前方を監視するミリ波レーダーセンサーが新型に置き換わり、フロントカメラの視野角が従来モデル比で20%拡大されました。この新しいセンサー群と高度なソフトウェアの連携により、システムはより遠くの状況をいち早く正確に認識できるようになりました。
- インテリジェント クルーズコントロールの進化 前走車との車間距離を維持する設定が、従来の3段階から4段階へと細分化され、よりドライバーの感覚に近い距離感を選択できるようになりました。また、停止している車両や減速している車両を検知するスピードが従来より33%向上したため、渋滞などで前方の車が急に止まった際でも、システムが早期に反応して滑らかにブレーキをかけ、同乗者に不安を与えません。低速域での再加速も11%素早くなり、交通の流れにスムーズに乗ることができます。
- 自動車線変更支援(Auto Lane Change) SR Technology Package装着車およびPlatinumグレードに設定される新機能です。時速37マイル〜85マイル(約60km/h〜136km/h)で分離帯のある高速道路を走行中、ドライバーがウインカーを操作すると、システムが周囲の安全をカメラとレーダーで確認し、安全と判断すればステアリングを自動制御して車線変更を完了させます。
- 渋滞時ハンズオフ機能(Hands-off Traffic Jam Support) 同じく分離帯のある高速道路において、低速でノロノロと進む渋滞に巻き込まれた際、ProPILOT Assistがアクティブな状態であれば、ドライバーは一時的にステアリングから手を離す(ハンズオフ)ことが許可されます。これにより、長時間の渋滞による肉体的・精神的な疲労が劇的に軽減されます。
- 先行車発進お知らせ機能(Lead Car Departure Notification) 交差点での信号待ちなどで、前の車が発進したことにドライバーが気付かずに停止し続けた場合、アラート音と画面表示で優しく発進を促してくれる便利な機能が新たに追加されました。
さらに、駐車時や狭い路地での取り回しをサポートするカメラ技術も進化しています。オプションの「3D HD Enhanced Intelligent Around View® Monitor」では、車両を上から見下ろす視点に加え、自車を透過させて前輪付近の縁石や障害物を確認できる「Invisible Hood View(目視不能フードビュー)」や、見通しの悪い交差点で役立つ「Front Wide View」が利用でき、物理的な死角をテクノロジーの力で補います。



今後の予定・注目点
日産が公式に発表している、北米市場における今後のスケジュールは以下の通りです。
- 2026年秋:スポーティなSRグレードに先進装備を追加した「SR Technology Package装着車(AWD)」が、米国ディーラーに先行して到着し、販売が開始されます。
- 2027年初頭:ベースとなるSVグレード、標準のSRグレード、そして最上級のPlatinumグレードを含む、すべてのラインアップの販売が本格的にスタートします。
今後の最大の注目点は、ハイブリッド車の需要が急増している北米市場において、日産のe-POWERという「エンジンで発電し、モーターで走る」という独自のアプローチが、アメリカの消費者にどのように受け入れられるかです。このローグ ハイブリッドの販売動向は、日産が推進する「米国市場での年間100万台販売」という中期目標の成否を握る重要な試金石となるため、業界全体から熱い視線が注がれています。
まとめ
今回の【新型ローグ ハイブリッド(北米市場向け)】の発表に関する重要なポイントを総括します。
- 北米市場における最重要コアモデル「ローグ」に、ブランド初となる待望の「e-POWER」モデルが追加された。
- 搭載されるパワートレーンは、新開発の1.5Lターボエンジン(ZR15DDTe)とSTARCコンセプトを用いた「第3世代e-POWER」であり、熱効率42%という驚異的な数値を達成。
- デュアルモーターによる電動AWDを全車標準装備し、システム最高出力225馬力の力強さと、e-Pedalによる滑らかな完全停止(Smooth Stop)を実現。
- 車載インフォテインメントには生成AI「Google Gemini」を統合し、自然言語による次世代の対話型AI操作が可能となった。
- ProPILOT Assistはレーダーとカメラを刷新し、高速道路での自動車線変更(Auto Lane Change)や渋滞時のハンズオフ機能を追加し、運転疲労を劇的に軽減。
- 日本の「日産自動車九州」で高品質に生産され、2026年秋より順次米国市場で販売が開始される。
新型ローグ ハイブリッドは、日産が長年培ってきた「e-POWER」技術のひとつの到達点であると同時に、Google Geminiに代表される最新のソフトウェア技術、そしてSUVとしての高い実用性を見事に高次元で融合させた傑作と言えます。北米市場での飛躍はもちろんのこと、日本市場におけるエクストレイルの将来的な進化や、間もなく登場が噂される次期型エルグランドへの期待を大いに膨らませてくれる、非常にエキサイティングな発表となりました。今後の日産自動車のグローバルな電動化戦略とSDVの展開から、ますます目が離せません。

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