本記事の内容について
今回はトヨタの特別なスポーツモデル「GRヤリス」の限定車2台、GRヤリス MORIZO RRとGRヤリス Sébastien Ogier 9x World Champion Editionを紹介いたします。
それぞれトヨタのマスタードライバーであるモリゾウ(豊田章男氏)とWRC9回チャンピオンのセバスチャン・オジエ選手の経験を元に開発された究極の1台です。
日本国内各100台の抽選限定販売で、発売は2026年春以降が予定されています。
この記事ではそれぞれの車両に与えられた特別装備の内容に焦点をあてて解説を行います。
購入検討の参考となれば幸いです。それではご覧ください。


基本情報について
まずは基本情報についてです。
GRヤリス MORIZO RRとオジエ記念モデルは、どちらもGRヤリスの頂点に位置する特別仕様車です。

現行GRヤリスのRZ “High performance”は8速ATモデルで約583万円(税込)からですが、今回の限定モデルはそれを遥かに上回る価格帯となりそうです。正式な車両本体価格はまだ発表されていませんが、GRヤリス MORIZO RRは800万円台前半~中盤程度になるとの情報があります。
セバスチャン・オジエ エディションについても同様に非常に高価な設定が予想され、両モデルともプレミアムな価格帯と言えるかと思います。ただし台数限定と専用装備の内容を考えると、希少性と走行性能を追求した妥当な価格設定かもしれません。
パワートレーンは共通ですが、MORIZO RRはモリゾウ氏が8速ATの有用性を強調していた経緯もあり、8速AT(GR-DAT)の設定になる見込みです。一方、オジエ記念モデルは公式発表はありませんが6速MT仕様となっているものと思われます。
販売台数については、両仕様ともに日本国内向けにはわずか「100台」の限定販売となる予定です。また、欧州の一部地域でも同じく100台限定でのリリースがアナウンスされています。

購入方法についてですが、TOYOTA GAZOO Racingの公式スマートフォンアプリである「GR app」を通じた、「抽選方式」が採用される予定です。このアプリ限定の抽選という形式からも、メーカーがいかに「本当に走ることが好きなファン」に届けたいと考えているかが伝わってきます。抽選の受付開始時期は、2026年の春頃と公式にアナウンスされています。

パワートレーンには両モデルともエンジンはGRヤリス共通の1.6リッター直列3気筒ターボエンジンが搭載されています。

最高出力は304PS(224kW)/6500rpm、最大トルクは40.8kgf·m(400N·m)/3250〜4600rpmとなっており、駆動方式は4WDシステム「GR-FOUR」で、前後輪に電子制御多板クラッチを用いた
可変トルク配分を実現しています。
限定モデルでは、この4WD制御にそれぞれ専用の走行モードが追加されている点が特徴です。
まずMORIZO RRには、ベース車の「GRAVEL」モードに代わる形で「MORIZOモード」が搭載されました。

このモードでは前後トルク配分を50:50に固定し、あらゆる路面で安定した駆動力を発揮できる設定となっています。ニュルブルクリンク24時間レースという過酷な環境で培われた知見を活かし、高いトラクション性能と安心感を得られる制御です。
一方オジエ仕様には、ベース車の「TRACK」モードを置き換える専用の「SEB.モード」が追加されています。

SEB.モードではトルク配分を前40:後60にセットし、ステアリング操作に対する前輪の応答性を保ちながら、後輪主導でクルマをコントロールできるようチューニングされています。WRCで数々の勝利を収めたオジエ選手の好みに合わせ、ハイスピード域での車両安定性と一体感を高める狙いがあります。さらにオジエ仕様にもMORIZOモードが搭載されており、加速時に前後輪を直結状態にして最大限に駆動力を伝達し、減速時には必要に応じて前後の拘束を緩めることで高いトラクションとコーナリング性能を両立しています。こちらはモリゾウ(豊田章男氏)がラリー参戦で導き出した配分をオジエ選手が気に入り採用したものです。
このように二人のトップドライバーの知見が反映された特別な4WDモードを楽しめるのは、まさに限定モデルならではの醍醐味と言えるでしょう。
外観紹介
続いて外観紹介、まずはボディカラーについてです。それぞれの仕様で全く異なる個性を放っています。
GRヤリス MORIZO RRには専用色「グラベルカーキ」が設定されています。

モリゾウ氏こだわりの渋いカーキ色で、ラリーのグラベル(未舗装路)を連想させるようなカラーリングです。一見派手さは抑えられていますが、日常の景色にも溶け込みつつ特別感を漂わせる
絶妙な色合いになっています。
一方のオジエ エディションは、新開発の専用色「グラビティブラック」を纏っています。

2025年のTGRワークスラリーカーに用いられたブラック基調のカラーリングをイメージしているとのことです。深みのある黒に微細な輝きが潜んでいるような高級感のある色となっています。どちらも限定車専用カラーですので、街中で見かければ一目で特別なGRヤリスだと分かるでしょう。
フロントマスク周りも各モデルならではの仕上がりです。GRヤリス共通の張り出したオーバーフェンダーと大開口のフロントバンパー形状はそのままに、各所に専用パーツが与えられています。
MORIZO RRではフロントバンパー下部に空力パーツのフロントスポイラーが追加され、より低く構えた顔つきになっています。

またラジエーターグリル(フロント開口部)の内部はピアノブラック塗装が施され、スポーティさと高級感を演出するとともに、視覚的に重心を下げて見せる効果があります。

フロントウインドウには「MORIZO」直筆サインが入っており、トヨタ会長・モリゾウの魂が宿る証となっています。

一方オジエ エディションでは、グリルに注目です。
グリル内部の一部にフランス国旗をモチーフにしたトリコロール(三色)ストライプのアクセントがあしらわれています。艶消しブラックのボディにフランスのブルー・ホワイト・レッドがさりげなく映え、遊び心と敬意を感じさせるデザインです。

フロントフードは、MORIZO RRがレース用と同形状のカーボン製エンジンフードを装備しているのに対し、オジエ版ではアルミ製ダクト付きフードを採用しています。いずれもエンジン冷却や軽量化に寄与しつつ、見た目にも迫力を増す装備です。

次にサイドデザインについてです。
ボディサイズの基本寸法はベースのGRヤリスと同一で、全長約3,995mm、全幅1,805mm、全高1,455mmというコンパクトな3ドアハッチバックボディです。

全幅は1.8m強あり日本の道路ではややワイドですが、そのぶん踏ん張りの効いたスタンスを見せます。全長は4mを切り取り回しの良いサイズで、ホイールベースは2560mmと短めのためコーナーでの機敏なハンドリングが期待できます。車高も低めでスポーツカーらしいシルエットですが、
最低地上高は市販車として十分確保されており日常走行で過度に気を遣う必要はないでしょう。
サイドから見ると、GRヤリスならではの3ドアクーペスタイルが際立ちます。ルーフは後方に向けて滑らかに傾斜し、リアに向かって絞り込まれたフォルムは空力的にも有利です。
MORIZO RRではこの側面にさらに専用のドレスアップが施されています。
具体的には、サイドシル(スカート)部分にエアロスカートを装着し、車体側面下部の空気の流れを整えています。これにより見た目も精悍になり、横から見た際の地面との隙間が小さく見えるため一層低く構えた印象です。

対するオジエ エディションでは、車体側面のドア下部からリアフェンダーにかけて特別な「バイナル(ステッカー)」が貼られています。

ブラックのボディに同色系で入るため一見さりげないですが、光の加減で浮かび上がる模様がラリーマシンを彷彿とさせ、さりげなく特別感を主張しています。3ドアならではの長いフロントドアと短いリアクォーターウインドウも、両モデル共通のスポーティな特徴です。
ホイールデザインはこのようになっており、MORIZO RRは専用の18インチ鍛造アルミホイールを装備し、マットブロンズ塗装が施されています。渋い青銅色のホイールにモリゾウイエローのブレーキキャリパーが映え、足元から個性が光ります。

一方オジエ エディションのホイールは18インチ鍛造で、こちらはボディと同系色のマットブラック塗装となっています。黒一色のホイールから覗くブルーのキャリパーがアクセントとなり、精悍さと上質さを両立した足元です。

ホイールデザイン自体は両車ともGRヤリス共通の10本スポーク調の形状ですが、色の違いで通常仕様と大きく見た目に差別化がなされています。なおタイヤサイズはいずれも225/40R18で、高性能スポーツラジアルを標準装着します。路面との接地面積も十分に確保され、4WDの高い機動力を余すところなく路面に伝えてくれることと思います。
また足回りにも専用チューニングが施されています。
GRヤリス MORIZO RRでは、ニュルでの鍛錬を経て専用設計のショックアブソーバーを採用し減衰特性を最適化、荒れた路面でもタイヤが路面に追従しやすいセッティングになっています。電動パワーステアリング(EPS)の制御もモリゾウ自らのフィードバックで最適化されており、低速から高速まで自然でリニアなステアフィールを実現しています。その結果、サーキット走行での鋭いハンドリング性能と日常走行での乗り心地を両立させているのがポイントです。

オジエ仕様については、ベースとなった「Aero performanceパッケージ」に準じた足回りを持つとみられます。Aeroパッケージ自体もプロドライバーと開発を重ね、空力パーツ追加だけでなくサスペンションや剛性強化も図られたモデルです。そのためオジエ仕様も高い次元でバランスした
乗り味を備えていることと思われます。
リアデザインはこのようになっており、最も目を引くのは大型のリアウイング(リアスポイラー)です。

GRヤリス MORIZO RRには、ニュル24時間レース車両で開発されたというカーボン製の専用大型リアウイングが堂々と装着されています。標準のGRヤリスやAeroパッケージ車のリアスポイラーよりも明らかに大きく、高く張り出した二段式形状で、まるで競技車両のGRヤリス Rally2を思わせる迫力です。このウイングは実際に強いダウンフォースを発生し、高速走行時やブレーキング時の安定性向上に寄与しています。

オジエ仕様では、ベースのAeroパッケージで採用された「大型可変式リアウイング」を装備していると思われます。Aeroパッケージのリアウイングは角度調整が可能なタイプで、高速域での安定性に貢献しつつ、状況に応じてダウンフォース量を変えられる実用性も備えています。

リアのエンブレム(車名ロゴ)も専用デザインです。
MORIZO RRはバックドア右下に「MORIZO RR」エンブレムが配され、オジエ仕様は同じ位置に「Sébastien Ogier 9x World Champion Edition」エンブレムが与えられています。どちらもこの車でしか見られない特別なエンブレムで、所有欲を満たしてくれるポイントでしょう。

リアバンパー下部には両モデル共通でディフューザー形状が組み込まれ、左右2本出しのマフラーエキゾーストが顔を出しています。迫力のサウンドとともに、スポーツカーらしいリアビューを演出しています。テールランプはGRヤリス標準と同じLEDコンビネーションランプで、コンパクトながら夜間にはっきりと存在を主張します。

内装紹介
次はトランク容量についてです。
こちらは通常仕様のトランクの様子となっていますが、GRヤリスは迫力のエクステリアとは裏腹に、日常ユースにも考慮された実用性を備えています。

ラゲッジスペースの容量は4人乗車時で174リットルです。数字だけ見るとコンパクトカーの中でも小さめですが、4WDシステムのリアデフや補強の関係で床面が高くなっているためで、これはスポーツ4WD車としては一般的な容量と言えます。ゴルフバッグなら小ぶりなもので1個、または中型スーツケース1個程度が収まるサイズです。
後席シートバックを倒せば空間を拡大可能で、その場合はタイヤ4本を積載できるスペースが生まれます。

実際、トヨタも「後席を倒せばサーキット走行用のタイヤ4本を積載可能」とアピールしており、走行会やラリーイベントに自走で行ってスペアタイヤを積んで帰る、といった使い方も想定されています。荷室の床面は幅1,000mm超を確保しており奥行きもそれなりにありますので、普段の買い物程度なら問題なく積載できます。日常からサーキットまで、このクルマ一台で楽しめるというのは大きな魅力ですね。
続いて運転席周りになります。
まずインテリアカラーについてですが、両モデルともブラックを基調としています。
GRヤリスはベースモデルでブラック内装に赤ステッチというスポーティな演出がなされていますが、限定モデルではそれぞれ異なるカラーアクセントが加えられています。
MORIZO RRの内装では、ステアリングホイールやシフトノブ、パーキングブレーキレバーなどに
アルカンターラ調のスエード表皮が採用され、モリゾウのシグネチャーカラーであるイエローのステッチが施されています。黒×イエローの配色が精悍で、視覚的にもスポーティムードを高めています。

一方オジェ仕様ではブラックをベースに、オジエ選手の母国フランスを意識したトリコロールのアクセントが散りばめられています。特にステアリングホイールのステッチはブルー・グレー・レッドの3色で縫製され、さりげなくフランス国旗を思わせるお洒落な仕立てです。


ステアリング自体はGRヤリス専用の小径スポーツタイプで、MORIZO RR同様に標準車より外径がひとまわり小さくモータースポーツ向けに操作性を高めた形状になっています。また両モデルともステアリングスイッチ類が独立形状に再設計されています。これはラリー車両の知見を取り入れ、
グローブ装着時でも押し間違いが少なく感触で判別しやすいように改良されたものです。モリゾウモデルではさらにステアリングの表面がスエード調で手に吸い付くような感触を重視していますが、オジエモデルでは高級感を優先して本革巻きのままとなっています。

メーター周りにも注目です。GRヤリスは改良によりフルデジタル液晶メーターを採用しています。
限定モデルではこのメーター表示に専用演出があります。

MORIZO RRでは、新設の「MORIZOモード」選択時にメーター内に専用グラフィックが表示され、オジエ仕様でも「SEB.モード」および「MORIZOモード」選択時に、専用の表示画面がメーター内に現れます。基本的なメーター機能自体は同じですが、こうした限定モデル専用の演出によって所有する喜びが高まることでしょう。もちろん速度計やタコメーター、各種警告灯など必要な情報は大変見やすくレイアウトされており、日常走行からスポーツ走行までドライバーをしっかりサポートしてくれます。
次に予防安全機能についてです。限定モデルとはいえ最新の安全技術もきちんと盛り込まれています。トヨタの先進安全パッケージ「Toyota Safety Sense」が搭載されており、プリクラッシュセーフティ(衝突被害軽減ブレーキ)やレーンディパーチャーアラート(車線逸脱警報)、レーントレーシングアシスト(車線維持支援)、レーダークルーズコントロール(追従クルコン)など
充実の機能が揃っています。

これらは通常のGRヤリスでも2025年モデルで全車標準化された装備で、限定モデルでももちろん標準となります。スポーツカーだからといって安全面を妥協せず、運転支援機能が日常のさまざまな場面でドライバーをサポートしてくれるのはありがたいポイントです。
ナビ周辺の装備についてです。
センターコンソールには、ディスプレイオーディオが配置されています。改良後のGRヤリスでは画面サイズが大型化され、見やすさ・操作性が向上しています。

このディスプレイは運転席側に傾けて配置されており、走行中でも視線移動が少なく操作しやすい工夫がされています。Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応しているため、お好みの地図アプリや音楽ストリーミングを使うこともできます。画面下には物理ボタンやダイヤル式のエアコン操作パネルが配置され、直感的にエアコン温度や風量を調節可能です。運転中でも手探りで操作しやすく、スポーツドライブに集中したい時にも煩わしさを感じません。このあたりのレイアウトはGRヤリス全車共通ですが、限定モデルでも変わらず使いやすいはずです。
センターコンソール周辺の特別装備として、MORIZO RRでは通常のハンドブレーキ形状ですが、
スエード巻きやイエローステッチで装飾されています。それに対し、オジェ仕様ではオプションである縦引きサイドブレーキが特別装備として与えられているようで専用のグレーステッチ付き革巻グリップを新規開発されているそうです。このあたりの違いには日常使用も視野に入れたMORIZO RRとスパルタンなオジェ仕様と明確に差別化されています。

グローブボックスにはそれぞれの仕様専用のシリアルプレートが与えられ、特別感と所有満足度を高めてくれます。

前席シートデザインはこのようになっており、GRヤリスの前席はスポーツ走行を支えるバケットタイプのシートが採用されています。肩と腰をしっかり支えるホールド性の高い形状で、コーナリング中も身体のブレを抑えてくれます。

MORIZO RRはイエローステッチ、オジエ版は黒+トリコロールステッチと、デザイン面での違いがあります。クッションやサイドサポートの硬さ・形状自体はベースモデルに準じていますので、
長時間座っても適度な柔軟性があり疲れにくいです。表皮は滑りにくい素材で、コーナリング中の身体の安定に寄与しています。
続いて改良前のものですが、運転席を私のドライビングポジションに合わせ、後席へと乗り込みます。乗り込む際には頭上注意ですが、クーペほどではないので、比較的乗り込みやすい方かと思います。

乗り込んだ際の視界はこのようになっており、前席のシート形状がスポーツ形状であるため、圧迫感が強く、前方視界はほとんどありません。

足元スペースとしては、身長170㎝の私のドライビングポジションに合わせた状態で足元スペースはこのくらいであり、窮屈と言うほどではありませんでしたが、頭上スペースがほぼなく、手の平一枚入るかどうか位だったので、身長170cm以上の方は頭が天井に当たってしまうと思われ、快適な状態とは言えないと思われます。

シートの形状としては前席ほどとはいえませんがサイドのサポートは張り出しており、体を支えてくれそうな形状となっています。ただ、さきほど申し上げた頭上スペースの狭さや後席窓が非常に小さいことによる圧迫感などから長時間のドライブには耐えられないかと思いますので後席に人が乗っている際には適度な休憩をとるべきかと思います。

まとめ
以上、GRヤリス MORIZO RRとオジェ仕様の概要をご紹介しました。
モータースポーツの情熱から生まれたこれらのモデルは、それぞれ異なるコンセプトと魅力を持っています。MORIZO RRはモリゾウの「もっといいクルマづくり」精神が込められ、ニュル24時間レースで鍛え上げられた走行性能と“ずっと運転していたくなる”高揚感を楽しめる一台です。
一方のオジエ仕様は、WRCで歴史的偉業を成し遂げたオジエ選手への敬意を込め、彼の求めた高い品質と洗練性、そしてラリーで培った機能性を融合させたモデルです。
限定100台という希少性から入手は困難ですが、抽選に当たり手にすることができれば、オーナーだけが味わえる特権的な走りと所有感を堪能できることと思います。今回ご紹介した内容が、皆さんの購入検討の一助になれば幸いです。


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