本記事の内容について
今回の記事ではスバルの人気クロスオーバーSUV「クロストレック」の2025年改良モデルを詳しくご紹介します。今回の年次改良では、新ボディカラーの追加、安全装備のアップデート、さらに特別仕様車であるLimited Style Editionがポイントとなっています。前半ではグレード体系と価格、パワートレーンの特徴を解説し、後半ではエクステリアやインテリアのデザイン、実用性、安全機能まで余すところなくお伝えします。それではご覧ください。

基本情報
まずはグレード構成についてです。
2025年モデルのクロストレックは全部で5種類のグレードがラインナップされています。
エンジンが2.0Lマイルドハイブリッドの「Touring」と「Limited」、それをベースに内外装を特別仕立てにした特別仕様車「Limited Style Edition」、2.5Lストロングハイブリッドエンジンの「Premium S:HEV」と、そちらに高度運転支援機能を加えたモデル「Premium S:HEV EX」が用意されています。

車両本体価格はご覧の通りとなっており、最も安価なエントリーグレードのTouringのFWDモデルで3,014,000円、最上位のPremium S:HEV EXのAWDモデルが4,053,500円になります。価格帯は約301万円から405万円ほどと、300万円台から400万円台前半に収まっています。
続いてパワートレーンについてです。
クロストレックには2種類のハイブリッドシステムが搭載されています。ひとつは2.0L水平対向4気筒エンジン+モーターを組み合わせたe-BOXERマイルドハイブリッドで、TouringやLimited、Limited Style Editionに搭載されます。もうひとつは2.5L水平対向4気筒エンジン+2モーターのe-BOXERストロングハイブリッド(S:HEV)で、こちらはPremium S:HEV系のグレードに搭載されます。

まず2.0L e-BOXERについてです。
このエンジンは排気量1995ccのFB20型水平対向4気筒DOHC直噴エンジンで、最高出力145ps/6000rpm、最大トルク188Nm/4000rpmを発生します。ここに最高出力13.6ps)・最大トルク65Nmの電気モーターとリチウムイオン電池が組み合わされ、リニアトロニックCVTを介して前輪または全輪を駆動します。モーターは主に低速域でエンジンをアシストし、発進時や加速時の力強さと燃費向上に貢献します。カタログ燃費はFWD車で約19.3km/L、AWD車で約18.8km/Lと公表されており
コンパクトSUVとしては日常使いからロングドライブまで、十分に低燃費と言えるでしょう。
一方、2.5L S:HEVストロングハイブリッドは、より大容量のモーターとバッテリーを組み合わせた本格的なハイブリッドシステムです。エンジンは2498ccのFB25型水平対向4気筒DOHC直噴で、最高出力160ps/5600rpm、最大トルク209Nm/4000~4400rpmを発生。これに最高出力119.6ps、最大トルク270Nmという高出力の駆動用モーターが組み合わされ、リニアトロニックCVT+シンメトリカルAWDにより4輪を駆動します。2.5L S:HEVモデルはEV走行可能範囲が広がっており、低速から高速まで力強い加速を実現しています。トヨタのハイブリッドシステム(THS)技術を活用して開発されており、高出力モーターによってオンロードでのコーナリング性能や悪路での走破性も大幅に向上しています。WLTCモード燃費は約22.7km/Lと、従来モデルに比べ飛躍的に向上しました。この数値はスバル車の中でもトップクラスの低燃費で、まさに「燃費と走行性能の両立」を高い次元で実現したパワートレーンと言えます。なおストロングハイブリッド車は機構上AWD(常時全輪駆動)のみの設定で、安定した走行時には一時的に前輪駆動に切り替わる制御も行われます。
どちらのパワートレーンもアイドリングストップ機構やSI-DRIVEに対応し、走りの楽しさと環境性能を両立させています。マイルドハイブリッドの滑らかな加速フィール、ストロングハイブリッドの力強いモーターアシスト、それぞれ魅力が異なりますので、ユーザーの好みに合わせて選択できるのもポイントです。
外観紹介
外観紹介、まずはボディカラーについてです。
2025年モデルではラインナップの見直しが行われ、全8色が設定されています。新色として追加されたのはベージュ系のサンドデューン・パールと、黄色系のシトロンイエロー・パールの2色となっています。基本的にはすべてのグレードですべてのボディカラーを選択可能ですが、イエローをワンポイントで採用するLimited Style Editionのみシトロンイエロー・パールが選択できません。


フロントフェイスはスバル車らしいヘキサゴングリルと、精悍なLEDヘッドランプが目を引きます。グリルは力強いメッキ加飾と黒色のグリルバーで構成され、アンダー部にはシルバーのスキッドプレート風デザインのモールが配されています。厚みのあるバンパーと大径フォグランプがSUVらしいタフさを演出し、ヘッドライトは近年のスバルデザインに共通する鋭い眼つきをしています。


グレードごとの装備の違いとして、ライトユニットの機能としてtouring以外のグレードではコーナリングライトや対向車などを検知し防眩しつつハイビームを照射するアダプティブドライビングビーム機能が搭載されたものとなっていますが、touringにはオプションとなっており、またフロントグリルバーのカラーリングがグレードにより、ブラックもしくはダークグレー仕立てとなっていたり、Limited Style Editionでは、フォグランプベゼルにイエローの加飾が施され、ひと目でそれと分かる個性的なアクセントになっています。イエローの差し色が効いたフロントマスクは、遊び心と存在感を両立していると言えます。



つづいてサイドビューとなります。
クロストレックのボディサイズは全長4480mm、全幅1800mm、全高1575mm、ホイールベース2670mmという取り回しの良いサイズ感ながら、堂々としたスタンスとなっています。

盛り上がっている前後のフェンダーに加えて、そのホイールアーチを縁取るクラッディングは無塗装ブラックで、SUVらしいタフさを表現するとともに、小石や泥跳ねからボディを守る機能的役割も担います。ルーフのラインはボディ後端にかけて一直線に流れており、室内スペースを確保しつつ、後席ウィンドウ処理によってCピラーが薄くシャープな造形となっていることで無骨さに加えてスポーティなシルエットとなりクロストレックの軽快なキャラクター性を表現するのに一役買っています。


この展示車にはルーフテントが備え付けられていましたが、こちらも非常によく似合いますね。このルーフテントの影響でわかりづらいですが、Limited Style EditionとPremium系グレードではルーフがブラックカラーとなっています。
グレードごとの装備の違いとしてはグレードによってドアミラーのカラーリングがブラックもしくはダークグレーとなる点とブラックもしくはダークグレーのルーフレールがオプション選択できる点が挙げられ、Limited Style Editionではルーフレールが標準装備となっています。

足元のホイールデザイン、タイヤサイズはグレードによって異なり、こちらの展示車にはSTIのオプションホイールが装着されていましたが、標準のTouringでは17インチのアルミホイール、Limited以上では18インチアルミホイールが装着されます。Limitedの18インチホイールは切削光輝+ダークメタリック塗装の凝ったデザインで、高級感とスポーティさを両立しています。一方、特別仕様車Limited Style Editionにはダークメタリック塗装の18インチアルミホイールが与えられており、引き締まった足元を演出します。


リアデザインはシンプルながら力強いデザインです。
張り出したリアバンパー下部にも無塗装ブラックのクラッディングが配され、SUVらしいタフさを表現しています。リアコンビネーションランプは横長基調でワイド感を強調し、テールゲートまで回り込む立体的な形状です。

点灯時には先鋭的な光り方を見せ、夜間の被視認性も高くなっています。
バックドア上部にはルーフスポイラーが装備され、空力性能とデザイン上のアクセントになっています。Limited Style Editionではこのルーフスポイラーもブラック塗装となり、細部に至るまで特別感のある仕立てです。さらにStyle Editionではリアガーニッシュもブラック塗装とし、テールランプ間の横一文字部分が引き締まった印象になっています。このようにグレードによってエクステリアのディテールには違いがありますが、いずれのモデルもクロストレックらしい躍動感のあるスタイルを備えています。
内装紹介
内装紹介、まずはトランク容量についてです。
クロストレックの荷室は5名乗車時で容積315Lの容量を確保しています。開口部の幅も広く、幅の広い荷物も積み込みやすくなっています。床面長は後席使用時で約814mmあり、ゴルフバッグや大型のスーツケースなども収めることができます。

またご覧のように後席を倒せばラゲッジスペースを大きく拡大でき、長尺物やかさばる荷物も積載可能です。後席背もたれは6:4分割可倒式になっており、片方ずつ倒すことで乗員と荷物の両方を柔軟にレイアウトできます。

後席をすべて畳んだ状態では荷室の奥行きが飛躍的に伸び、大きなアウトドア用品や自転車なども積載できるかと思われます。床面はほぼフラットになる設計で、荷物の滑り込みもスムーズです。
ストロングハイブリッド車(Premium S:HEV系)では、駆動用バッテリーを床下に搭載している関係で荷室容積が279Lとなり、通常モデルよりやや容量が減少します。もっとも日常ユースでは大きな差を感じない程度で、日用品の買い物や旅行荷物など十分なスペースがあります。

ラゲッジルームには照明も装備されており、Limited以上のグレードではLEDリアゲートランプが標準装備されて夜間の積み下ろしを明るくサポートします。フック類なども備えており、小物の収納や買い物袋の固定にも便利です。
続いて運転席周りになります。
クロストレックには基本的にはグレーとブラックの組合せの一択となっており、特別仕様車のみ、グレーベースにイエローの入った個性的なインテリアカラーとなります。また、素材が異なり、基本はファブリックと合成皮革の組合せとなっていますが、LimitedとPremium EXのグレードのみオプションで本革素材が選択可能となっています。



運転席ドア内張はこのようになっており、ファブリック素材やカーボン調パネルにメッキ加飾、ドア持ち手にはソフトパッドが使われているなど、モノクロなカラーリングとなっていますが、多彩な素材が組み合わされることで質感が担保されています。


乗り込みに関してはサイドシルはそこまで分厚くなく、車高もSUVのなかではそこまで高いわけでもありませんのでスっと乗り込むことが可能となっています。


ステアリングは全車共通のスポーティな3本スポークデザインで、電動パワーステアリングの特性も相まって軽快な操作フィールを提供します。ステアリングにはオーディオやクルーズコントロールのスイッチ類が集約され、手をハンドルから大きく離さずに操作が可能です。さらに寒冷地や冬場の使用を考慮してステアリングヒーターも用意されています。加えて全グレードにパドルシフトが用意されているところにも走りへのこだわりが感じられます。


メーターデザインとしては大きく分けて2種類が用意されています。
ひとつは左右にアナログ式の丸型メーターを配置し、中央に4.2インチのマルチインフォメーションディスプレイとなっており、速度やエンジン回転、ハイブリッドのエネルギーフロー、アイサイトの作動状態など様々な情報をこの小型ディスプレイで確認できます。また、特別仕様のStyle Editionではメーター照明のリングがイエローに発光する仕様となっています。

そして先進装備が充実したPremium EX専用装備として12.3インチのフル液晶メータが採用されています。こちらではハイブリッドシステムのパワーメーターやナビゲーション機能の地図画面など、運転に必要な情報をわかりやすく表示することができ、他のグレードとの大きな差別化ポイントとなっています。

安全装備についても改良型クロストレックでは、全車に最新世代の運転支援システム「アイサイト(EyeSight)」を搭載しています。今回の改良でドライバーモニタリングシステムとドライバー異常時対応システムの連携も強化され、運転中のわき見や居眠りを検知すると警報を行い、深刻な異常と判断した場合にはアイサイトのツーリングアシスト機能を通じて減速・停車まで自動で行う仕組みが備わりました。ドライバー異常時対応システム作動時にはハザードランプを点滅させ後続車へ注意喚起するタイミングがより早められるなど、細かな改良も施されています。


このように「ぶつからない・はみ出さない」ための先進安全技術が惜しみなく投入されており、運転する人だけでなく同乗者や周囲の車にも安心感を提供します。ちなみにこのドライバーモニタリングシステムのカメラ機能を利用し、ドライバーを認識することでシートポジションやドアミラー角度を自動で調整する機能がtouring以上のグレードで標準装備となっています。
最上位グレードのPremium S:HEV EXには、アイサイトに加えて高度運転支援システム「アイサイトX」が搭載されています。アイサイトXは渋滞時のハンズオフ走行や高速道路での自動車線変更支援などを可能にする先進機能で、長距離ドライブや渋滞時のドライバー負担を大きく軽減することが可能です。

運転席からの視界はこのようになっており、ドアミラーの位置が工夫されていることでAピラー周辺の死角が少なく、左斜め後方に関しても視界が開けているため、システムに頼らずとも運転はしやすいものと思います。



センターコンソール周辺にはスバル最新世代のインフォテインメントシステムが据えられています。こちらの11.6インチディスプレイはタブレット感覚で直感的に操作でき、ナビゲーションやオーディオ、車両設定などあらゆる機能を集約しています。Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応し、スマートフォンを連携してアプリの使用や音楽再生が可能です。画面は上下2分割表示にも対応しており、ナビを表示しながらオーディオ操作を行う、といったマルチタスクもこなせます。


物理ボタンは必要最低限に絞り込まれ、室内はスッキリとした印象です。ただエアコン温度調整など一部操作は画面上で行う形になりますが、大きなアイコン表示とわかりやすいメニュー構成で運転中でも扱いやすく工夫されています。ディスプレイ内蔵のナビゲーション機能についてはTouringやLimitedではメーカーオプション扱いですが、Limited Style EditionおよびPremium S:HEV EXでは標準装備として最初から組み込まれています。

センターディスプレイ下部にはエアコンの吹き出し口とハザードスイッチが配置されています。シフトレバーは従来通りフロアシフトで、CVTのポジション表示も見やすく配置。Limited以上ではシフトノブに本革巻き&ピアノブラック加飾が施され上質感があります。シフト周辺にはカップホルダーや小物トレイ、充電用USBポート(Type-A/Type-C)などがあり、実用性もしっかり確保されています。

センターアームレスト内の小物入れに関しても非常に奥行きがあり、さまざまなものに対する収納スペースとして活用できそうです。

シート形状はこのようになっており、腰回りのサポート性に優れており、肩口までを支えるシート形状となっていることでドライブ中も体がぶれることなく、快適性の高いシート形状となっています。

またグレードごとでシートの模様が異なるなど各グレードの内装ごとにこだわりが感じられるものとなっています。touringのみレバー式のシート調整となっており、こちらをオプションで電動パワーシートに変更することで先述したシート調整のおもてなし機能も装備可能となります。また、快適装備としてシートヒーターがtouring以外に標準装備となっています。

つづいて後席周りについてです。
後席ドア内張はこのようになっており、ドアノブへのメッキ加飾やドア持ち手周辺のソフトパッドなどは与えられていますが、前席のカーボン調のオーナメントなどはあしらわれていませんでした。


乗り込みに関しては開口幅も標準的に取られており、頭上スペースも確保されているため、苦も無く乗り込むことが可能となっています。


後席足元スペースとしては手の平一枚分となっており、脚が組めるほどではありませんでしたが、十分なスペースが確保されています。

センタートンネル周辺にはUSBポートが設けられていますが、後席用のエアコン吹き出し口などは設けられていません。また、センタートンネルは幅は大きくありませんが張り出し量としてはそれなりにあるため、後席3人乗りの際は譲り合いが必要そうです。

センターアームレストはペットボトルホルダーが備え付けられたオーソドックスなものとなっています。

シート形状はこのようになっており、前席ほどではありませんが、ボリューム感のある立体的なものとなっており、長距離運転においてもリラックスした姿勢を保てる快適性の高いシートとなっていました。

この車両には装備されていませんでしたが、一部グレードではサンルーフがオプション装備可能となっていますので要チェックポイントとなっています。

まとめ

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