本記事の内容について
今回の動画では、先日、レクサスのスポーツセダンであるISに設定された特別仕様車のF SPORT MODE BLACK Ⅳの車両が、名古屋のミッドランドスクエアに展示されていましたので、そちらの実車を見ながら、内外装の紹介と特別装備内容、動画の後半では見積シミュレーションをお届けします。
それではご覧ください。

基本情報
まずは車両本体価格についてです。
ISにはパワートレーンに応じて、IS300、IS300h、IS500が設定されており、それぞれのパワートレーンの仕様に対して、ベースグレード、ラグジュアリー仕様のversion L、スポーティ仕様のF SPORTSが設定されています。
今回設定された特別仕様であるMODE BLACK Ⅳは、IS300、IS 300hのF SPORTSのグレードをベースに特別装備を加えたものとなっており、IS500の仕様には設定がない点が注意であり、車両本体価格はご覧の通りとなっています。
通常のF SPORTSの仕様に対し、約50万円程度の価格アップとなっており、この価格アップに見合った特別装備が与えられているか、要注目となっています。


パワートレーンに関しては、IS300hには2.5Lの直列4気筒エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載し、システム合計で220psを発生します。燃費性能も優れており、WLTCモードで18.0km/Lと、経済性と環境性能を両立しています。
IS300は2.0Lターボエンジンを搭載し、最高出力245ps、最大トルク350Nmを発生。ターボエンジンらしい力強い加速が特徴で、燃費はWLTCモードで12.2km/Lです。今回の発表のタイミングでは大きな変更は加えられておらず、通常仕様と特別仕様車でスペックに違いはありません。
ちなみに、IS500は5.0L V8エンジンを搭載し、最高出力481ps、最大トルク535Nmを発生します。8速ATとの組み合わせにより、ダイナミックな加速性能を実現しており、スポーツドライビングを存分に楽しめる仕様になっています。

外観紹介
外観紹介、まずはボディカラーについてです。
レクサスISにはご覧の10色のカラーバリエーションが設定されていますが、F SPORTSがベースとなっているMODE BLACK Ⅳでは、選択できるボディカラーが限定されている点が注意であり、ご覧のように、よりスポーティなカラーリングのボディカラーが選択肢として与えられている点が特徴です。

続いてフロントフェイスまわりとなります。
ISのフロントフェイスは、マイナーチェンジの実施により非常にアグレッシブとなっており、その印象を与える一因となっているのが、フロントフェンダー部の拡大によるものとなっています。フロントを斜めから見るとボディの拡大具合がよくわかり、正面から見た際の踏ん張り感へとつながり、このアグレッシブなフロントフェイスが形成されています。

また、レクサスでお馴染みとなっているスピンドルグリルに関しても、ISは2度のブラッシュアップを重ねたことでデザインが熟成されており、スピンドルグリルを中心として、そこから放射状にヘッドライトやボンネットフードのラインへと繋がるデザインが非常に洗練されています。スピンドルグリルに関しては、F SPORTSグレードの場合、メッシュ状のスポーティなものとなっており、下部・サイドのダクト含めてピアノブラックで塗装されていることにより、ラグジュアリースポーツの雰囲気を感じさせる仕上がりとなっており、MODE BLACK Ⅳでも変更はありません。

ヘッドライトについてはスピンドルグリルとのつながりをもった非常にシャープなデイライト形状を備えたものとなっており、マイナーチェンジ後のシャープさをより印象付けるものとなっています。

こちらのヘッドライトは、通常のF SPORTSでは標準装備は単眼のヘッドライトとなりますが、MODE BLACK Ⅳではオプションの3眼LEDヘッドライトが標準装備となっています。

あらためて引きでフロントフェイスをみるとスピンドルグリルを中心としたシャープなフロントフェイスが形成されていることで、純粋に見た目で欲しいと思える魅力的なフロントフェイスであるといえます。

サイドに回り込んできました。
ISのボディサイズは、全長4710mm、全幅1840mm、全高1435mm、ホイールベース 2800mmとなっています。

サイドのシルエットとしてはFR車らしく、前輪から運転席までのプレミアムレングスが長く取られている伸びやかなプロポーションであり、ルーフのラインがなだらかにボディ後端までつながるスポーツセダンのシルエットとなっています。ボディの側面には一本のエッジラインが入っており、ボディ下面から斜めに駆け上がるラインと重なることでリアフェンダーの盛り上がりを強調しています。この処理は斜め後ろから見るとよりそのデザインの特徴をつかみやすくなっており、複雑なラインがリアフェンダー周りを構成しています。
また、このフェンダー部分とルーフのラインを分けるトランクスポイラー周辺の処理には、寄絞りと呼ばれる工法が採用されており、この工法によって摘み上げるようなシャープなトランクスポイラーが形成されており、このISのデザインに対する開発陣のこだわりを非常に感じます。
サイドの質感に関しても非常に高く、Bピラーまわりのパーツやサイドスカートに関してもすべてピアノブラックにて塗装されており、こちらもフロントフェイス同様、レクサスクオリティが担保されているように感じます。
ちなみに、サイドまわりの特別装備として、ドアミラーがブラック塗装+スモークメッキ加飾が与えられており、ウィンドウモールにはブラックステンレスの素材が与えられていることで、より引き締まったデザインとなっています。


ホイールデザインはこのようになっており、こちらはMODE BLACK Ⅳの特別装備となっているBBS製の鍛造アルミホイールとなっています。


極細のY字スポークが、軽量・高剛性を兼ね備えた機能性にも優れたホイールであることを主張しています。また、F SPORTSベースであるため、オプションでオレンジのブレーキキャリパーを選択することも可能となっています。
ちなみに、デザインは異なりますが、ディーラーオプションでもBBS製鍛造ホイールが用意されており、そちらの価格が約65万円となっていますので、ホイール代だけで特別仕様車の価格アップ分を賄えており、価格だけでいうと、お得な特別仕様ということになります。

リアに回り込んできました。
リアデザインの特徴としては、前回のマイナーチェンジから導入されている一文字のテールランプであり、きれいに面発光することで夜間での存在感が抜群であり、シャープさも相まって非常にISのデザインとマッチしているように思います。


改めてリアデザインを見てみると、サイドのデザインで紹介した寄絞り工法による特徴的なデザインとなっており、トランク容量とのトレードオフとなってしまいますが、絞り込まれたシャープな造形がスポーツセダンらしいフォルムを形成しており、こだわり感じるデザインは非常に好印象です。
内装紹介
内装紹介、まずはトランク容量についてです。テールゲートは電動式でないのは少し残念ですが、ボディの軽量化のためには致し方ないかと思います。
トランク容量はご覧の通りであり、リアデザインの際に述べたように、デザイン性重視の車両であるため、広大であるとは言えません。

また、セダンであるためトランク床と開口部に大きめの段差があり、荷物の出し入れ時にスライドして出し入れすることができません。サイドのえぐりとしては、手前側は大きくえぐられてはいますが、奥に行くに伴いどんどん狭くなっていっているので、そこまで幅広のものは積みづらい印象です。
床下スペースに関しても、昨今珍しいテンパータイヤの収納スペースに大部分が割かれているため、床下スペースもほぼ活用できず、トランク容量を拡張することはできません。

一応、トランクスルーの機能を備えているため、ご覧のように後席を倒すことで長尺物の収納には対応できますが、セダンというボディ形状の都合上、高さ方向のスペースが十分でなく、またボディ剛性確保のための環状骨格が組まれているため、スペースにも制約がある印象です。そのため、この車両が購入候補に挙がる方は重々承知かと思いますが、実用性よりもデザインや運動性能に重きを置いた車両であることが、改めてわかります。

続いて運転席周りの紹介になります。
ISの内装色としては、ご覧の全5色のバリエーションが設定されていますが、MODE BLACK Ⅳではその名の通りブラック一択となっており、ブラックの内装に銀墨ブラックのオーナメントが組み合わされたものとなっています。


運転席ドアの内張はこのようになっており、黒の内装であり、色合いとしては少し地味でありますが、上面にソフトパッド、中央部にも薄く模様が入ったソフトパッド、そして持ち手にスエード素材を用いることで、スポーツセダンであることを主張しています。ウィンドウスイッチの台座のオーナメントには、先述した銀墨ブラックのオーナメントが用いられており、シックな内装の雰囲気の演出がなされています。また、下部にはペットボトルホルダーを差し込めるようになっており、実用性も兼ね備えたものとなっています。



乗り込みに関しては、ボディ剛性確保のため、サイドシルが厚めに取られていることと、セダンボディであるため、乗り込む際には多少の窮屈感がありますが、こちらは致し方ないですね。

ステアリングデザインはこのようになっており、F SPORTSのロゴが入ったスエード素材とパンチングレザーの組み合わせのものとなっていることで、スポーツカーらしい無骨な仕上げとなっており、パドルシフトも備え付けられています。ステアリング上面はウィンドウスイッチの台座同様、銀墨の素材が与えられています。

スイッチ配置としては、マイナーチェンジが行われていますが、旧世代のものとなっており、運転支援系の操作スイッチが斜めに配されているものとなっているのが、少し残念です。
メーターはこのようになっており、F SPORTS専用の8インチディスプレイで、お馴染みのメータリングがスライドする独特なものとなっています。情報表示量としては最新世代のものや、その他のメーカーの車両のものには劣りますが、タコメーターを中心においたシンプルな情報表示が走りへと集中させる雰囲気づくりに寄与していますし、何よりかっこいいですね。


予防安全装備としては、レクサスセーフティシステム+が与えられており、交差点の右左折時にも対応したプリクラッシュセーフティや、先行車と一定の距離を保って追従するレーダークルーズコントロールの機能などが与えられています。また、さらなる安全装備として、車両周囲をカメラにて確認できるパノラミックビューモニターの機能が、MODE BLACK Ⅳでは標準装備となっています。



運転席からの視界はこのようになっており、スポーツセダンではありますが、ドアミラーの配置が工夫されていることで、運転中の死角は比較的少なめであるといえます。ナビに関しても、横長の形状が採用されていることで、その稜線が視界とかぶらないように配慮されていました。


ナビに関しては10.3インチのものが標準装備となっており、情報表示量としては十分かと思います。操作性に関しては、センタートンネルのタッチパッドを使用する方法と、直接の画面タッチに対応しており、選べるのはいいのですが、ナビ画面が比較的遠くに配置されているため、運転中に画面に触れるには向かないのが少し残念です。


その下にはアナログ時計を中央に配してエアコン吹き出し口があります。このアナログ時計が「レクサスらしさ」という感じがして好きだったのですが、最近のレクサス内装では採用されなくなってきており、少し残念です。その下にエアコン操作系スイッチがピアノブラック調の台座の上に配置されており、温度調整のスイッチがタッチ式となっているため、少し直感的でないように感じました。その下にはオーディオ系のスイッチ類が配置されており、左右のボリュームボタンには金属パーツが使われていることで、操作時に質感の高さを感じることができます。

この展示車には、オプションであるマークレビンソンのサウンドシステムが備え付けられていました。その下には、前席用のシートヒーターとシートベンチレーションのスイッチが配置されています。改めてですが、旧世代の内装を引き継いでいるため、少しスイッチの数が多い気がしますね。マイナーチェンジでこの辺りの刷新は困難かと思いますが、もう少しステアリングスイッチに機能を移すなどして、スイッチ類を減らすことができればと思います。スイッチ類が多すぎると運転に集中しづらくなるので、この部分はこの車両のコンセプトに反する部分かと思います。

その後ろには、こちらもスエード素材を用いたシフトノブが配置されており、その横にはドライブモードの切り替えダイヤルが配置されており、さらに後ろにはナビ画面操作用のタッチパッドが配置されています。先ほど述べたように、運転中のナビ操作はこちらで行うことになるかと思いますが、少し慣れが必要そうな操作性に感じました。


アームレストにもスエード素材が使われていることで、スポーティ感が演出されており、その中にはUSBポートとシガーソケットが配されています。容量も必要十分かと思います。


シート形状はこのようになっており、形状自体はベースのF SPORTSグレードと同じものですが、MODE BLACK Ⅳの場合は素材にウルトラスエードを用いていることで、サイドをしっかりと支える形状に加えて、スポーツ走行中にすべりにくい機能性を兼ね備えた、よりスポーツに特化したシートとなっていることが特徴であり、先ほど述べたように、ヒーター機能とベンチレーション機能も備えた快適性が担保されているのがうれしいところです。


続いて後席についてです。
後席のドアの内張はこのようになっており、前席の質感からは少し劣る印象でした。ソフトパッドやスエード素材は使用されていますが、中央部分の模様がなくなっていたり、下部にペットボトルホルダーがないといった点から、前席優先の車両であることを感じさせます。


乗り込む際も、サイドシルの分厚い点であったり、ルーフラインの関係上、頭をかがめながら乗り込む形となります。


乗り込んでから感じたのが、後席シートのクッション性の高さですね。後席座面が非常に分厚く、しっかりしていたため、そのように感じたのだと思います。足元スペースとしては、身長170cmの私のドライビングポジションに合わせた状態でこのぐらいのスペースになっており、足が組めるほどの余裕はありませんでした。

また、ルーフが落ち込んだ形状となっていることでリアガラスの開口面積がそこまで大きくないこと、それに加えて、先ほど述べたシート座面の高さから、私の身長でも頭上スペースが手のひら一枚分くらいしかなかったため、身長が高めの方の場合は後席の圧迫感が相当なものであると思われ、注意が必要です。
後輪駆動車であるため、センタートンネルの張り出し高さも相当なものとなっており、後席真ん中に人が座るのはほぼ無理であると考えられ、実質4人乗りの車であるというとらえ方がいいかと思います。後席エアコン吹き出し口まわりの質感もそこまで高くなく、センターアームレストにもペットボトルホルダーがあるのみで、後席にUSBポートはなさそうですので、このことからも、この車はドライバーズカーであることを改めて感じます。



ただ、シート形状に関してはご覧の通り、4人乗りに特化させることでサイドの張り出しが大きく、シートのクッション性も合わせて、長距離運転でも疲れにくそうなシートとなっているため、ドライバーと一緒にスポーツ走行を楽しめるポテンシャルを秘めているものと思います。

見積シミュレーション
最後に、見積シミュレーションを実施してみました。
IS300のMODE BLACK Ⅳをベースに、ボディカラーはソニッククロムを選択しました。オプションとしては、ほとんど標準装備されており、ナンバーフレームやフロアマットなどを選択し、オーディオシステムをマークレビンソンにアップデートするオプションを選択したところ、合計で約670万円となりました。



決して安価ではありませんが、BMW 3シリーズなどのライバル車と比較すると、それらよりは安く、見た目で欲しくなるカッコよさであり、今となっては貴重なFRセダンであることを考えると、購入検討の余地はあるかと思います。参考となれば幸いです。
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