本記事の内容について
2026年9月16日、トヨタ自動車はフラッグシップSUV『ランドクルーザー“300”』シリーズの一部改良を公式発表し、2026年10月1日より発売を開始します。
今回の改良における最大の核心は、歴代国内向けランドクルーザーシリーズとして初となる本格ハイブリッドシステム(HEV)の初設定と、従来の純ガソリンエンジンモデルの全面廃止です。同時に、中間グレードの整理統合による全5グレードへの集約、オフロード実用特化モデルとして生まれ変わった「GX」の再定義、そして従来は高額メーカーオプションであった先進快適・安全装備の大幅な標準化が断行されました。
本記事では、公式発表データおよび最新諸元に基づき、新設定されたハイブリッドシステムの構造とスペック、改良前モデルからの価格改定の要因分析、新旧比較、各グレードの装備差、購入検討時に把握すべきメリットや注意点を専門的見地から詳細に解説します。

この記事でわかること
- 新型ランドクルーザー300の主な変更点と発表・発売スケジュール
- 3.5L V6ツインターボハイブリッド(HEV)のスペックと走行特性
- 新型モデルのグレード体系、乗車定員、最新車両本体価格一覧
- 従来型(改良前モデル)との価格差および標準化装備の費用対効果分析
- オフロード実用特化へと舵を切ったディーゼル「GX」の専用装備内容
- 荷室構造、新設アクセサリーコンセント、インテリア・エクステリアの刷新内容
- 用途や予算に応じた最適なグレード選びの基準
今回の発表内容・変更点
今回の一部改良における全体像は、単なる年次改良の枠を超え、電動化時代の環境要請と本格クロスカントリーSUVとしての原点回帰を同時に達成する極めて戦略的な再編となっています。
| 項目 | 内容 |
| 公式発表日 | 2026年9月16日 |
| 発売日 | 2026年10月1日 |
| 車両本体価格帯(税込) | 6,300,800円 〜 10,200,300円 |
| パワートレーン刷新 | 3.5L V6ツインターボガソリン車廃止、3.5L V6ツインターボハイブリッド新設定 |
| グレード構成の集約 | 7グレードから5グレードへ再編(AX・VXを廃止) |
| GXグレードの再編 | 3.3Lディーゼル専用とし、前後電動デフロック等を標準化したオフロード実用特化仕様へ変更 |
| 先進・快適装備の拡充 | デジタルインナーミラー、前後方ドラレコ、おくだけ充電等の全車標準装備化 |
| 新外板色の導入 | ニュートラルブラック〈229〉新設、プラチナホワイトパールマイカ〈089〉新設 |
今回の改良で特に注目すべきは、最高出力457PS、最大トルク790N・mという驚異的な数値を誇るパラレルハイブリッドシステムの搭載です。エンジンと10速ATの間に駆動用モーターを挟み込むクラッチ付き1モーターハイブリッド構造を採用し、過酷な悪路での緻密なトルク制御と、高速巡航時の圧倒的な加速性能・環境性能を高度に両立させました。
従来の純ガソリン車がラインアップから姿を消したことで、今後のランドクルーザー300は「3.5L V6ツインターボハイブリッド(7人乗り)」と「3.3L V6ツインターボディーゼル(5人乗り)」の2系統に明確に分かれることになります。

グレード構成と車両価格
今回の一部改良に伴い、従来の7グレード構成から「AX」「VX」の中間2グレードが整理・廃止され、全5グレードへと集約されました。駆動方式は全車フルタイム4WD(電子制御AWD)を継続採用しています。
改良後モデルのグレード・価格一覧
| グレード | パワートレーン | 駆動方式 | 乗車定員 | 価格(税込) | 主な特徴 |
| GX | 3.3L V6 ディーゼルターボ | 4WD | 5人 | 6,300,800円 | 前後デフロック標準、実用性特化のベース仕様 |
| ZX | 3.3L V6 ディーゼルターボ | 4WD | 5人 | 8,750,500円 | 20インチアルミ、充実の快適・安全装備を備えた上級仕様 |
| ZX | 3.5L V6 ハイブリッド | 4WD | 7人 | 9,801,000円 | 専用エアロバンパー、AC1500W給電、電動3列シート |
| GR SPORT | 3.3L V6 ディーゼルターボ | 4WD | 5人 | 9,150,900円 | E-KDSS、専用外観、前後デフロック搭載の走破性強化仕様 |
| GR SPORT | 3.5L V6 ハイブリッド | 4WD | 7人 | 10,200,300円 | システム457PS+E-KDSS、フラッグシップ最高峰仕様 |
従来モデル(改良前)との価格比較
| グレード | 従来価格(税込) | 新価格(税込) | 差額 | 変更要因の分析 |
| GX(ディーゼル) | ― | 6,300,800円 | ― | 旧ガソリンGX(5,252,500円)比+1,048,300円。ディーゼル化と前後デフロック標準化 |
| ZX(ディーゼル) | 7,736,300円 | 8,750,500円 | +1,014,200円 | JBLサウンド、リアエンターテインメント、ドラレコ等標準化 |
| ZX(ハイブリッド) | ― | 9,801,000円 | ― | 新設定(旧ZXガソリン7,436,000円比で+2,365,000円のハイパワー電動化) |
| GR SPORT(ディーゼル) | 8,136,700円 | 9,150,900円 | +1,014,200円 | JBLサウンド、デジタルミラー、ドラレコ、快適装備標準化 |
| GR SPORT(ハイブリッド) | ― | 10,200,300円 | ― | 新設定(旧GR SPORTガソリン7,836,400円比で+2,363,900円) |
ディーゼルモデルにおける約101万円の価格上昇は、単純な原材料高騰による値上げではなく、従来70万円から80万円前後の高額メーカーオプションであった「JBLプレミアムサウンドシステム」「リヤシートエンターテインメントシステム」「デジタルインナーミラー」「前後方ドライブレコーダー」等が全量標準装備化されたことに起因します。装備内容を考慮した実質的な価格改定幅は抑制されており、購入時のオプション選択の手間を省きつつ、総合的なリセールバリューと満足度を高める構成となっています。

各グレードの特徴
GX(3.3Lディーゼル・5人乗り)
過酷な環境での実務用途や本格オフロード走行を見据え、「質実剛健なプロツール」としての性格を徹底的に研ぎ澄ましたエントリーモデルです。
主要装備として、過酷な脱出路面で威力を発揮するフロント・リヤ電動ディファレンシャルロック、265/65R18オールラウンドタイヤ&18インチシルバー塗装アルミホイール、アルミサイドステップ、ブラック塗装ラジエーターグリル(メッキ加飾付)を標準装備しています。内装には過酷な使用に耐えうるファブリックシート(運転席6ウェイ・助手席4ウェイマニュアル調整)を採用し、泥汚れや水気に強い樹脂製フロアカーペットをメーカーオプション設定しました。華美な装飾を排し、本格的な悪路走破性能と耐久性を最優先するクロカン志向のユーザーや、独自のカスタマイズベース車両を求めるユーザーに最適です。
ZX(3.3Lディーゼル・5人乗り / 3.5Lハイブリッド・7人乗り)
都会的な洗練とフラッグシップSUVにふさわしい快適性を極めたプレミアムグレードです。
堂々たる佇まいを演出する20インチアルミホイール、上質な本革シート、JBLプレミアムサウンドシステム(14スピーカー/12chアンプ)、後席用リヤシートエンターテインメントシステム、クールボックス、前後方ドライブレコーダー、デジタルインナーミラー、ブラックルーフレールが標準装備されています。さらにZXのハイブリッド仕様車には、専用意匠となる漆黒メッキ加飾付きフロントエアロバンパーおよび漆黒メッキモール付きリヤエアロバンパーが奢られ、視覚的にも特別な存在感を放ちます。長距離クルージングでの極上の静粛性と快適性、同乗者をもてなす上質なキャビン空間を最優先するユーザーに向いています。
GR SPORT(3.3Lディーゼル・5人乗り / 3.5Lハイブリッド・7人乗り)
ダカールラリーで培われたモータースポーツの知見をフィードバックし、オンロードの操縦安定性と過酷な悪路での限界性能を高次元で融合させた本格スポーツ仕様です。
走行メカニズムの要として、電子制御スタビライザー「E-KDSS(Electronic Kinetic Dynamic Suspension System)」、専用チューニングサスペンション、フロント・リヤ電動デフロックを標準装備しています。外観には「TOYOTA」ロゴを配した専用フロントグリル、専用前後バンパー、マットブラック塗装の専用18インチアルミホイールを纏い、内装にもGRエンブレム付き本革スポーツシートを採用しました。市街地やワインディングではロールを抑制して俊敏なハンドリングを提供し、オフロードではスタビライザーを瞬時にフリー化して驚異的なサスペンションストロークを確保するため、あらゆる走行環境で卓越した操縦性を体感したいドライバーに適しています。
パワートレーン
新型ランドクルーザー300では、電動化の要請に応える新開発ハイブリッドと、強大な低速トルクを誇る熟成のツインターボディーゼルの2系統が用意されます。
| 項目 | 3.5L V6 ツインターボ ハイブリッド(HEV) | 3.3L V6 ツインターボ ディーゼル |
| エンジン型式 | V35A-FTS 改 + 駆動用モーター | F33A-FTV |
| 排気量 | 3,444 cc | 3,345 cc |
| エンジン種類 | V型6気筒 DOHC インタークーラー付ツインターボ | V型6気筒 DOHC コモンレール式ツインターボ |
| システム最高出力 | 457 PS(336 kW) | 307 PS(226 kW) / 4,000 rpm |
| システム最大トルク | 790 N・m(80.6 kgf・m) | 700 N・m(71.4 kgf・m) / 1,600〜2,600 rpm |
| モーター最高出力 | 40 kW | ― |
| モーター最大トルク | 290 N・m | ― |
| トランスミッション | Direct Shift-10AT(電子制御10速オートマチック) | Direct Shift-10AT(電子制御10速オートマチック) |
| 駆動方式 | フルタイム4WD(トランスファー付) | フルタイム4WD(トランスファー付) |
| ステアリング機構 | 電動パワーステアリング(EPS) | 油圧パワーステアリング+操舵アクチュエーター |
ハイブリッドモデルに採用されたシステムは、エンジンとトランスミッションの間にモーターを配置する1モーターパラレルハイブリッド機構です。発進直後から290N・mの強大なモータートルクを発生させ、約30km/h以下の極低速域ではEV走行にも対応します。オフロードにおける岩場越えや極低速での微細なスロットルワークにおいて、ターボラグやトルクの立ち上がり遅れを完全に排除したミリ単位の精密な車両コントロールを可能にしました。オンロードにおいてもシステム総合出力457PSのパワーにより、2.5トンを超える車体を淀みなく加速させるリニアなドライバビリティを発揮します。
一方の3.3L V6ツインターボディーゼルは、可変ノズルターボを緻密に制御することで1,600rpmという低回転域から700N・mのフラットトルクを発生させます。卓越した耐久性と重厚なトルクフィール、そして長距離巡航における優れた熱効率を堅持しています。

燃費・航続距離
車両重量がかさむ本格ラダーフレームSUVにおいて、環境性能の向上と航続距離の確保は実用面での極めて重要な評価指標です。
| パワートレーン | WLTCモード複合燃費 | 走行特性と実用燃費の傾向 | 使用燃料 / タンク容量 |
| 3.5L ハイブリッド(HEV) | 9.4 km/L[cite: 4, 7] | 市街地でのストップ&ゴーにおける改善効果が大きい | 無鉛プレミアムガソリン / 大容量タンク |
| 3.3L ディーゼル | 9.7 km/L[cite: 7] | 高速道路での長距離巡航における熱効率と実燃費に優れる | 軽油 / 大容量タンク |
| (参考)旧3.5L 純ガソリン車 | 7.9 〜 8.0 km/L | 低速域の加減速で燃料消費が顕著に増加 | 無鉛プレミアムガソリン |
ハイブリッドモデルのWLTCモード燃費「9.4km/L」は、旧型3.5L純ガソリン車の「7.9km/L」と比較して約19%の燃費改善を達成しています。減速時のエネルギーを電力として回収する回生ブレーキとモーターアシストの協調により、従来モデルの課題であったストップ&ゴーの多い市街地走行での燃料消費が抑制されました。
長距離の高速道路走行を主体とする過酷なロングドライブでは燃料単価の安い軽油を用いるディーゼルモデルが依然として高い経済性を誇りますが、市街地走行とレジャーを両立する一般的な使用環境においては、ハイブリッドモデルの静粛性と燃料消費効率の高さは大きな優位点となります。
外観デザイン
ランドクルーザーの伝統である水平基調のプロポーションとタフなホイールアーチを堅持しつつ、グレードごとの個性を際立たせる意匠変更が行われました。
フロントデザイン
ZXグレードのハイブリッド仕様車には、専用造形の「フロントエアロバンパー(漆黒メッキ加飾付)」が新採用されました。ワイド感を強調したロアグリルと落ち着きのあるダーククロームが調和し、フラッグシップにふさわしい先進的な風格を与えています。 また、新設定されたGXグレードでは、過酷な現場での実用性を象徴するブラック塗装のラジエーターグリル(メッキ加飾付)が採用され、タフなプロツール感を力強く表現しています。


サイドデザイン
伸びやかなサイドビューには、ZXおよびGR SPORTにルーフレール(ブラック)が標準装備化され、SUVらしい機能性と積載性を誇示しています。GXには乗降性に配慮した強固なアルミサイドステップが標準装備されます。

ホイール・タイヤ
足回りは各グレードのキャラクターに合わせてサイズと意匠が最適化されています。
| グレード | タイヤサイズ | ホイール仕様 |
| GX | 265/65R18 | 18×7.5J アルミホイール(高輝度シルバー塗装) |
| ZX | 265/55R20 | 20×8.0J アルミホイール(スーパークロームメタリック塗装) |
| GR SPORT | 265/65R18 | 18×7.5J 専用アルミホイール(マットグレー塗装) |

リアデザイン
ZXハイブリッドのリヤセクションには、専用の「リヤエアロバンパー(漆黒メッキモール付)」が装着されます。マフラーの露出をスマートに抑え、低重心で引き締まったリヤビューを構築しています。


ボディカラー
環境規制や塗装工程の見直しに伴い、外板色ラインアップが刷新されました。
- 新設定色:プラチナホワイトパールマイカ〈089〉(メーカーオプション 税込33,000円)、ニュートラルブラック〈229〉(標準設定色)
- 継続設定色:グレーメタリック〈1G3〉、アバンギャルドブロンズメタリック〈4V8〉
- 廃止色:ホワイトパールクリスタルシャイン〈070〉、プレシャスホワイトパール〈090〉

ボディサイズ
強靭なTNGA GA-Fプラットフォームを骨格としながら、グレードやパワートレーン固有のエクステリア造形および足回り設計により、外寸にミリ単位の差異が設けられています。
| 項目 | GX(ディーゼル) | ZX(ディーゼル) | ZX(ハイブリッド) | GR SPORT(共通) |
| 全長 | 4,950 mm | 4,985 mm | 4,980 mm | 4,965 mm |
| 全幅 | 1,980 mm | 1,980 mm | 1,980 mm | 1,990 mm |
| 全高 | 1,925 mm | 1,925 mm | 1,935 mm | 1,925 mm(HEV: 1,935 mm) |
| ホイールベース | 2,850 mm | 2,850 mm | 2,850 mm | 2,850 mm |
| 最低地上高 | 225 mm | 225 mm | 225 mm | 225 mm |
全幅は標準モデルで1,980mm、GR SPORTでは専用オーバーフェンダーにより1,990mmに達します。日本の標準的なタワーパーキング(全幅1,850mm〜1,900mm制限)の利用は困難であり、平置き駐車場の確保が実質的な必須条件となります。 また、ハイブリッドモデルは高電圧バッテリーおよびアンダーフロアのパッケージング最適化に伴い、全高がディーゼル車比で+10mm高い1,935mmに設定されています。最小回転半径は5.9mを堅持しており、スクエアなグラスエリアと相まって車両感覚の把握は車格の割に極めて良好です。
内装
過酷な環境下での直感的な操作性を追求した水平基調のコクピットには、質感の向上と先進装備の統合が図られました。


メーター・ナビ・ディスプレイ
ZXおよびGR SPORTには、高精細な12.3インチT-Connect SDナビゲーションシステムとJBLプレミアムサウンドシステム(14スピーカー/12chアンプ)が標準化されました。後席天井部には11.6インチの高解像度ディスプレイを備えるリヤシートエンターテインメントシステムが標準装備され、後席乗員に向けた極めて快適な視聴環境が整えられています。



快適装備・デジタル機能
- デジタルインナーミラー:サードシート乗車時やラゲージ満載時でも、車両後方カメラのクリアな映像をルームミラーに投影し、良好な後方視認性を常時確保します(鏡面ミラーモードへの切り替えも可能)。
- おくだけ充電®:Qi規格対応の非接触充電スペースが全車標準装備化され、車内でのスマートフォン充電利便性が高まりました。
- クールボックスの容量変更:センターコンソール内に備わる保冷機能付きクールボックスは、ハイブリッド関連電装品および新設されたAC100V・1500W給電システムの配線構造に伴い、庫内容量が従来の8.4Lから6.2Lへと変更されています。



荷室・実用性
ハイブリッド化に伴う駆動用バッテリーの搭載により、荷室およびシート格納機構に重要な仕様変更が行われました。
従来の純ガソリン車(7人乗り)で採用されていた床下ダイブダウン格納方式に対し、新型ハイブリッドモデル(7人乗り)ではフロア下にバッテリーユニットを配置するため、サードシートは背もたれを前方へ倒し込む「電動フォールドダウン構造」に変更されました。 シート格納時に生じる段差を解消するため、専用の「フレキシブルデッキボード」が標準装備されます。このデッキボードは上下2段に荷室空間を分割できる構造を持ち、長尺物積載時にはボードを跳ね上げて高さを確保することも可能です。



また、ハイブリッドモデルにはAC100V・最大1500Wの大電力を供給できるアクセサリーコンセントが、「センターコンソールボックス後部」と「ラゲージ左側」の計2箇所に設置されました。アウトドアやキャンプでの高消費電力家電(IH調理器、電気ケトル、ポータブル冷蔵庫など)の使用はもちろん、自然災害や停電などの緊急事態において車両を非常用電源として活用することが可能です。

安全装備・運転支援
新型ランドクルーザー300は、先進予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の検知精度向上に加え、周辺環境の監視・記録デバイスが標準化されました。
全車標準搭載となった「前後方ドライブレコーダー」は、フロントカメラとリヤカメラによる常時録画・イベント録画に対応し、納車直後からの安心感を高めています。 また、ZXおよびGR SPORTに標準装備される「マルチテレインモニター」は、4つのカメラで車両周囲を映し出し、悪路走行時に死角となるアンダーフロアを透過表示する「アンダーフロアビュー」や「両サイドビュー」を備え、過酷な地形での安全なライン取りをサポートします。 さらに、路車間・車車間通信により見通しの悪い交差点での対向車や歩行者の存在、緊急車両の接近をディスプレイ表示とブザー音でドライバーに通知する「ITS Connect」も全車標準装備化されました。

今回注目の新装備・新技術
高負荷環境に耐えうるパラレルハイブリッドシステムの意義
乗用車向けハイブリッドで主流のシリーズ・パラレル型(THS II)と異なり、ランドクルーザー300に採用されたハイブリッドは、大トルク対応10速ATを組み合わせた1モーターパラレル式です。プロペラシャフトとデファレンシャルギアを介して4輪をメカニカルに駆動する伝統の4WD機構をそのまま維持しているため、ハイブリッド化されても「世界中の過酷な大地を走破し、生きて帰還する」というランドクルーザー本来の信頼性と悪路走破性は一切損なわれていません。
電動パワーステアリング(EPS)導入による操舵感覚の革新
ハイブリッドモデルには電動パワーステアリング(EPS)が専用装備されました。これにより、悪路走行時にタイヤから伝わる過度なキックバックを電子制御で抑制し、オンロード走行時には車速に応じた軽快かつ高精度なステアリングインフォメーションを提供します。レーントレーシングアシスト(LTA)作動時のステアリング制御も極めて滑らかになり、長距離高速クルーズ時のドライバーの疲労軽減に大きく貢献します。
従来モデルとの違い
改良前モデルと今回発表された改良後モデルの主要な変更内容を構造的に整理します。
| 項目 | 従来モデル(2021〜2025年型) | 今回発表モデル(2026年10月発売) |
| パワートレーン | 3.5L V6ガソリンツインターボ / 3.3L V6ディーゼルターボ | 3.5L V6ツインターボHEV(新設) / 3.3L V6ディーゼルターボ(ガソリン廃止) |
| グレード展開 | GX / AX / VX / ZX / GR SPORT(計7種) | GX / ZX / GR SPORT(計5種に集約)[cite: 3] |
| エントリー価格 | 5,252,500円(ガソリンGX) | 6,300,800円(ディーゼルGX)[cite: 3, 7] |
| フラッグシップ価格 | 8,136,700円(ディーゼルGR SPORT) | 10,200,300円(ハイブリッドGR SPORT)[cite: 3, 7] |
| GXの位置付け | 装備を削ぎ落としたフリート用ベース車 | 前後デフロック等を標準化したオフロード実用特化仕様[cite: 5, 6] |
| 後方視界支援 | 通常ルームミラー(デジタルミラーはOP設定) | デジタルインナーミラーを標準化(ZX、GR SPORT)[cite: 1, 2, 4] |
| ドライブレコーダー | ディーラーオプション扱い | 前後方ドライブレコーダーを全車標準化[cite: 1, 2, 4] |
| 音響・映像 | JBLサウンド、リアモニターは高額オプション | ZX、GR SPORTに標準装備化[cite: 1, 2, 3] |
| 給電機能 | AC100V・100Wアクセサリーコンセント | AC100V・1500W給電コンセントを2箇所設置(HEV)[cite: 3, 5, 7] |
おすすめグレード
コストパフォーマンスと走破性を両立したい場合:GX(3.3Lディーゼル・5人乗り)
630万円という価格設定でありながら、前後電動デフロック、アルミサイドステップ、18インチアルミホイールを標準装備したGXは、今回の改良における最も実質的なバリューモデルです。高額なオーディオやエアロパーツを排した無骨な仕立ては、ラフロードでの酷使や本格的なクロカン走行を目的とするユーザーに高い満足度をもたらします。
最高峰の快適性と多人数乗車を求める場合:ZX(3.5Lハイブリッド・7人乗り)
システム最高出力457PSの余裕ある加速、専用エアロバンパーの風格、そして標準装備化されたJBLサウンドやリヤモニター、1500W給電コンセントを備える本グレードは、ファミリーレジャーやエグゼクティブの長距離ツアラーとして理想的なパッケージングを提供します。
唯一無二の悪路走破性能と走りの質感を重視する場合:GR SPORT(3.3Lディーゼル or 3.5Lハイブリッド)
オンロードの俊敏なコーナリングとオフロードでの驚異的な接地性を両立する「E-KDSS」および前後デフロックの組み合わせはGR SPORTのみの特権です。高速道路走行が多いユーザーは燃料代に優れるディーゼル、日常のストップ&ゴーや給電機能を重視するユーザーはハイブリッドの選択が適しています。
購入検討時の注意点
- 乗車定員とパワートレーンの固定関係:ハイブリッドモデルは全車「7人乗り(3列シート)」、ディーゼルモデルは全車「5人乗り(2列シート)」に仕様が固定されています。5人乗りのハイブリッドや、7人乗りのディーゼルを選択することはできません。
- 立体駐車場の寸法制限:全幅1,980mm(GR SPORTは1,990mm)、全高1,925〜1,935mmという体躯は、都市部の機械式駐車場や一般的な商業施設の規格を大きく超過します。自宅や頻繁に利用する目的地の駐車環境を事前に確認する必要があります。
- ガソリン車の全廃に伴う燃料指定:従来のレギュラー・ハイオク仕様ガソリン車が廃止されたため、ハイブリッド車は「無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)」、ディーゼル車は「軽油」の指定となります。
- 給電コンセントの有無:AC100V・1500W給電機能はハイブリッドモデル専用装備であり、ディーゼルモデルには装備されません。アウトドアや非常時給電を主目的とする場合はハイブリッドを選択する必要があります。
まとめ
- ランドクルーザー“300”が一部改良を実施し、国内シリーズ初となる「3.5L V6ツインターボハイブリッド(HEV)」を新設定。
- 従来の純ガソリンモデルが完全廃止され、ラインアップは「HEV(7人乗り)」と「ディーゼル(5人乗り)」の全5グレードに集約。
- ハイブリッドはシステム最高出力457PS・最大トルク790N・mを発揮し、WLTC燃費9.4km/Lを達成。
- GXグレードが3.3Lディーゼル専用となり、前後電動デフロックを標準化したオフロード実用特化仕様へリニューアル。
- デジタルインナーミラー、前後ドラレコ、おくだけ充電、JBLサウンド等が上位車に標準装備化され、商品力が大幅に向上。
- 車両価格は6,300,800円〜10,200,300円(税込)。発売は2026年10月1日より開始。
今回の一部改良は、ランドクルーザー300が誇る強靭な走破性能と耐久性を一切損なうことなく、時代の要請である電動化とインテリジェントな安全・快適性を高度に融合させた極めて完成度の高いモデルチェンジといえます。純ガソリン車の廃止と上級装備の標準化に伴い価格帯は上昇したものの、付加された走行性能、環境性能、そして給電をはじめとする実用装備の価値を考慮すれば、フラッグシップにふさわしい納得の進化を遂げています。

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