TOYOTA衝撃の新型「GR GT」世界初公開内外装レビュー|4.0L V8ツインターボHV×FR×オールアルミフレームのGAZOORACINGフラッグシップスポーツ解説 GT3で勝つための技術11個

GRGT
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本記事の内容について

こんにちは、ムラクモです。
今回はTOYOTA GAZOO Racingが世界初公開した衝撃の新型フラッグシップスポーツカー
「GR GT」をご紹介します。GR GTは「公道を走るレーシングカー」をコンセプトに開発された2シーターのスーパースポーツで、伝説的なトヨタ2000GTやLexus LFAの流れをくむ次世代の旗艦モデルに位置付けられています。
この記事では、モータスポーツで培われ、そして勝つために注ぎ込まれた技術の数々を詳細に解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

基本情報

GR GTは2027年頃の発売を目指して現在開発が進められており、詳細なグレード構成はまだ公表されていません。
フラッグシップスポーツカーという性格上、基本的には単一グレードでフル装備のモデルになる可能性が高いですが、発売時には特別仕様やオプションによるカスタマイズが用意されることも考えられます。

価格について正式発表はありませんが、その搭載技術や競合モデルから推測すると2000万円~3000万円程度になると予想しています。参考までにLexus LFAが約3750万円、4WD化してしまいましたが、車格としては同等のAMG GT63が約2700万円からということを考慮しての予想価格帯です。

また、生産台数も限定される可能性が高く、かつてLFAが世界500台限定だったように、生産台数はかなり絞られることと思います。ただこの車両をベースとしたGT3モデルも同時発表されており、このカテゴリに参戦するためには年間200台以上の生産が必要であること、また、プレゼンテーションでも日常使いも犠牲にしないというコメントがあったことから、数量限定生産ではないことが示唆されており、LFAほどの手に入れづらい車両とはならないかもしれません。
このあたりは一般公開される予定の東京オートサロンあたりで続報があるかもしれませんね。

次に、GR GTのパワートレーンについて見ていきましょう。
エンジンはトヨタ初採用となる新開発の4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンに、1モーターのハイブリッドシステムを組み合わせています。システム全体で最高出力650ps以上、最大トルク850Nm以上を発生させる計画で、その圧倒的なパワーが特徴です。

この数値は開発目標値ですが、市販時にも同等のパフォーマンスが実現される見込みです。エンジン自体は「徹底的に小さく、軽く」という設計思想のもと開発されており、ショートストローク化(ボア×ストローク:87.5mm×83.1mm)による全高の低減や、V型気筒のバンク内に2基のターボチャージャーを配置したホットVレイアウト、さらにドライサンプ方式の潤滑システム採用などにより、エンジン搭載位置を極限まで下げています。これによりフロントフードの高さを抑え、
車全体の低重心化に大きく貢献しています。

駆動方式はフロントエンジン・後輪駆動(FR)を採用しており、エンジンで生み出された動力は
CFRP製トルクチューブを介して車体後部のトランスアクスルへ伝達され、後輪を駆動します。
トランスアクスルには発進用のモータージェネレーター(ハイブリッド用モーター)と、新開発の8速オートマチックトランスミッションが組み合わされています。この8速ATはトルクコンバーターを廃し、「ウェットスタートクラッチ(WSC)」方式を採用したもので、機械式LSD(リミテッドスリップデフ)も一体化されています。

従来のATよりダイレクトな動力伝達が可能となり、エンジンとモーターの力を余すことなく後輪に伝えることができます。これらパワートレーンの最適配置により、車両の前後重量配分はフロント45:リア55と後輪寄りのバランスを実現しました。駆動用バッテリーや燃料タンクといった重量物も最適な位置に配置されており、コーナリングや加速時の安定性・ハンドリング性能に寄与しています。

走りを支えるシャシー(車体構造)にも最新技術が投入されています。
GR GTではトヨタとして初めてオールアルミニウムフレームを採用し、大型中空アルミ鋳造部材やアルミ押出材を骨格の主要部位に用いることで高い剛性と軽量化を両立しています。

ボディパネルにもアルミ材に加えて炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を適材適所に使用しており、ハイブリッドシステム搭載による重量増を抑える工夫がなされています。実際、車両重量はプロトタイプ段階で1750kg以下に収められ、650ps級のハイブリッドスポーツとしてはかなり軽量の部類となっており、コンセプトの近い先代のAMG GTRを上回るパワーウエイトレシオとなっています。

サスペンションは前後とも新設計のダブルウィッシュボーン式を採用し、アルミ鍛造製のアームによって軽量・高剛性化されています。日常域からサーキットの限界走行まで一貫してリニアな応答性と高いコントロール性を目指してチューニングされており、プロドライバーの意見を取り入れつつゼロから開発が進められました。これらにより、ドライバーはクルマとの一体感を強く感じながら安心してハードな走行を楽しむことができます。

なおGR GTのパワートレーンは公道走行も可能なハイブリッドシステムであり、主目的はコーナリングからの立ち上がり加速をアップさせるためではあると思われますが、燃費性能にも一定のメリットがあります。大排気量V8エンジンに電動モーターのアシストが加わることで、同クラスの純ガソリンエンジン車に比べれば低速域や巡航時の効率は向上しているはずです。実際、GR GTの開発ではサーキット走行だけでなく一般公道でのテストも行われており、日常使用においても扱いやすさや安心感を提供できるよう作り込まれています。こうした点からも、圧倒的な性能と実用性の
バランスを両立しようという開発陣の意図が感じられます。

最高速はプロトタイプの目標値で320km/h以上と公表されており、加えて0-100km/h加速などの加速性能についても市販時にFR車としてはトップレベルの数値が期待できるでしょう。エンジンサウンドにもこだわりがあり、V8ツインターボならではの迫力ある音に加え、車両状態に連動してドライバーと対話するようなサウンド演出を追求して開発されています。まさに走行性能のあらゆる面で「もっといいクルマ」を目指した意欲作と言えます。

内外装紹介

続いて、GR GTの外観デザインについて紹介します。
まずボディカラーですが、ワールドプレミアで展示されたプロトタイプ車両はGR車両が最近よく採用しているプレシャスメタルよりも少し濃いダークグレーのボディカラーを纏っていました。
市販モデルでどのようなカラーが用意されるかは現時点で未発表ですが、フラッグシップスポーツにふさわしい鮮やかなカラーや、レーシングカーを想起させるホワイト、定番のブラックなど複数の選択肢が用意されるかと思います。抑揚のある筋肉質のフォルムですのでメタリックカラーが映えそうですね。

フロントフェイスを見ると、車幅いっぱいに広がる低いノーズと大型の開口部(エアインテーク)がまず目に入ります。

空力性能とエンジン冷却を最優先したデザインとなっており、薄型で鋭い形状のLEDヘッドライトやカーボン製のフロントスプリッター(エアロパーツ)と相まって、迫力と機能美を両立した表情を創り出しています。
通常の市販車開発とは異なり、エクステリアデザインは「空力ファースト」を掲げて理想的な空力フォルムを先に決定し、その後で細部のデザインを詰めるという逆転の手法が取られました。開口部の位置や造形も入念に検討された結果、フロントから見てもレーシングカーさながらのアグレッシブさと合理性が感じられるデザインに仕上がっています。

車体サイズは全長4820mm、全幅2000mm、全高1195mmという堂々たるプロポーションで、ホイールベースは2725mmとなっています。幅広で背の低い「ワイド&ロー」スタイルがGR GTの大きな特徴で、この低い全高は先述の低重心パッケージングによって実現されたものです。

サイドから眺めると、ロングノーズ・ショートデッキの美しいシルエットが目を惹きます。エンジンがフロントに搭載されたFRレイアウトならではの伸びやかなボンネットと、キャビン(乗員空間)が車両後方寄りに配置されたスタイルによって、フロントからリアにかけて流れるようなラインが描き出されています。
車高が約1.2mと非常に低いため、全体が地を這うような低姿勢となっており、高性能スポーツカーらしい存在感を放っています。この1.2m以下の全高はFR車としてはかなり異常な数値となっており、1.2m以下の車高の車としては他にランボルギーニのウラカンなどが挙げられ、まさにスーパーカーに伍するフォルムであり、それをFR車で実現していることが驚きです。

前後のフェンダー(翼状の張り出し)は力強く膨らみ、特にフロントフェンダー後方にはタイヤハウス内の空気を排出するアウトレット風の開口部も確認できます。これは高速走行時の揚力低減やブレーキ冷却に効果を発揮するデザイン要素で、サイドシル(ステップ部分)からリアエンドにかけても空気の流れを整えるスカート形状が採用されているようです。

足元に目を移すと、20インチ径の大径アルミホイールが装着され、その内側には大径ブレーキディスクと赤いブレーキキャリパーが覗きます。

タイヤサイズはフロント265/35ZR20、リア325/30ZR20という超ワイドサイズで、後輪がフロントより太い設定となっています。装着されるタイヤはミシュラン・パイロットスポーツ Cup 2というハイグリップラジアルタイヤで、GR GTのために専用開発されたコンパウンド・構造を持つモデルです。サーキット走行を強く意識した選択であり、高いグリップ力と応答性によりGR GTの性能を余すところなく引き出します。ブレーキはブレンボ製カーボンセラミックディスクブレーキを採用しており、繰り返しのハードブレーキングでもフェードしにくく安定した制動力を発揮します。
これにより時速300km級のスピードからでも安心して減速でき、まさにレースカーさながらの足回りと言えるでしょう。

リアデザインも見ていきましょう。
公開されたプロトタイプ車両の写真からは、細長く横一文字に近いLEDリアコンビネーションランプが左右に伸び、リアウインドウ下部から一体的に立ち上がるような小型のリップスポイラー(一体型リアウイング)が確認できます。

リアコンビネーションランプの造形は先日公開されたWEC車両のGR010のアップデート版と共通した意匠となっており、モータスポーツ場面でのGRのアイコンとなりそうです。

大きく競り上がった固定式のウイングではなく、ボディと一体化した控えめな造形とすることで、
公道車らしい上品さを保ちながら空力的な効果も狙ったものと思われます。リアバンパー下部にはレーシングカーを想起させる大型ディフューザーが備わり、車体下面の気流を整えてダウンフォースを発生させる役割を果たしています。左右には丸形の大径デュアルエキゾーストが配置され、
V8ツインターボエンジンの重厚なサウンドを力強く響かせることでしょう。幅2mのワイドな車幅と相まって、後方から見た姿は非常にどっしりと安定感があり、低重心で踏ん張ったスタンスが強調されています。全体として余計な飾りを排したシンプルかつ機能美あふれるリアデザインで、
フロント同様に「走るため」に研ぎ澄まされた印象を受けます。

ちなみにトランク容量の考察ですが、徹底した低重心化やフロントアクスル構造の採用により、
こちらのサイドシルエットの断面図をみてもかなり絶望的な狭さになるかと思いますので、
全ての走りに振り切ったある意味非常に贅沢な車であると思われます。

次に、GR GTの内装(インテリア)を見ていきます。
公開されたプロトタイプの室内は情熱的な赤を基調とした配色となっており、スポーティさと上質さが融合した空間に仕上がっていました。シートやドア内張り、ダッシュボード下部にかけて赤いレザーやアルカンターラ(人工スエード調素材)が惜しみなく使われており、随所にカーボン調の加飾や赤いステッチも施されています。天井やダッシュボード上部は黒系で引き締めつつ、赤とのコントラストが映えるデザインです。市販時にはブラックやグレー系など複数の内装色バリエーションが用意される可能性もありますが、スポーツカーらしい華やかな赤の内装は一つの魅力となりそうです。

運転席まわりを見ると、まず目に入るのが独特の形状を持つステアリングホイールです。
小径で厚みのあるステアリングは下部が平らなDシェイプ型を採用し、上部中央には赤いセンターマーカーがあしらわれています。握りやすい本革巻きのグリップ部には指掛かりも工夫されており、スポーツ走行時でも確実なハンドル操作ができるよう配慮されています。

オーディオ操作系や予防安全系の操作スイッチなどのレイアウトはレクサスESに採用されているものと同じとなっていると思われ、ユーザインターフェイス周りに関しても次世代のものとなっていそうです。

さらに特徴的なのはステアリング周辺に配置された多数のスイッチ類です。走行モード切替、車両制御系の各種スイッチがハンドル近くに集約されており、ドライバーがステアリングから手を大きく離すことなく操作できるレイアウトになっています。これらのスイッチ配置は直感的に押しやすい位置と形状に工夫されており、運転中の操作性向上に寄与しています。まさに「手の届く範囲に必要な操作系全てがある」という理想を追求したコクピットと言えるでしょう。

安全装備(予防安全機能)についても触れておきます。
GR GTは公道走行が可能な市販モデルですので、トヨタの先進安全技術であるトヨタセーフティセンスも搭載される見込みです。衝突被害軽減ブレーキなどの安全機能に加えて、GR GTにはサーキット走行由来の安全装備も与えられており、ブレーキ制御とエンジン出力制御を組み合わせた
車両安定制御システム(VSC)はマルチステージ(多段階)式となっており、ドライバーが任意に介入度合いを調節できる仕組みです。

天候や路面状況、ドライバーのスキルに応じて電子制御の介入レベルを細かく調整できるため、例えば雨天時には安全マージンを高め、晴天サーキット走行時には介入を最小限に抑えるといった使い分けが可能です。こうした高度な制御技術はニュルブルクリンク24時間耐久レース参戦車で
培われたノウハウがフィードバックされたもので、単に速いだけでなく「誰が運転しても楽しめる」「意のままに操れる」ことを目指したGR GTならではの特徴と言えます。

メータークラスター(計器盤)はフルデジタルの液晶ディスプレイとなっています。
表示内容やレイアウトはドライバーの視認性を最優先に設計されており、特にサーキット走行時に重要となるシフトアップタイミングのインジケーターや現在のシフトポジションなどが一目で分かるよう大きく表示されています。

情報表示の幅や高さ、配置についてはプロのドライバーとともに何度も試行錯誤を重ねて決定されたとのことで、周辺視野でも確認しやすい絶妙な位置に設定されています。これにより高速走行中でも視線移動を最小限に抑え、必要な情報を瞬時に読み取ることができます。
個人的にはこの必要際上限の情報表示モードに加えて、デジタルメーターではありますが、オーソドックスな円形のタコメーター表示のレイアウトのデザインのメーターの用意もあると嬉しいところです。

センターコンソール上部には大型のインフォテインメントディスプレイが配置されています。
画面自体はタッチパネル式と推測されますが、その下には物理ボタンやダイヤル類も備わっており、走行中でも確実な操作ができるように考慮されています。

ナビゲーション機能はもちろん、オーディオやエアコン操作、車両設定の変更などもこの画面で行うことができるでしょう。プロトタイプの写真ではディスプレイに車両の3Dモデルや各種メニューが表示されている様子が確認でき、こちらのインターフェイスもレクサスESや新型RAV4から採用が開始される次世代のものが採用されていそうです。最新のコネクテッド機能にも対応するはずで、例えば走行データの記録やスマートフォン連携、ドライビングアプリとの連動なども期待できます。スーパースポーツでありながら日常的な使い勝手にも抜かりはなく、快適装備にも現代車らしい充実ぶりがうかがえます。

センタートンネルにはこちらもESと同じと思われる小ぶりのシフトノブが与えられており、そのまわりには各種操作系のスイッチが配置されています。このまわりには日常使いに配慮されたスイッチがまとめられており、アイドリングストップのスイッチや、パノラミックビューモニターのスイッチ、フロントリフターと思われるスイッチが確認できるなど、運転支援系の装備も充実していることがうかがえます。

シートにも注目しましょう。
GR GTのフロントシートは身体をしっかりホールドするバケットタイプのスポーツシートが採用されています。

これはスープラのFinalEditionと同じRECARO製のもののようですね。
肩から腰にかけてのサポートが厚く張り出しており、コーナリング中もドライバーと乗員の体が
ブレないようがっちり支えてくれます。座面も適度に硬めのチューニングが施され、長時間のスポーツ走行でも疲れにくいよう工夫されていることと思います。シート素材には上質な本革とアルカンターラが組み合わされ、高級車らしい触感とホールド性を両立しています。
ヘッドレスト一体型のレーシーなデザインで、シート背面にはカーボンファイバー製のシェルが採用されています。赤い内装の場合、シートも赤い革で仕立てられ、随所にパンチング(穴あけ加工)やコントラストの効いたステッチが入り、細部までこだわり抜かれている印象です。ドライビングポジションは車高の低さに合わせてかなり低めに設定され、まさにクルマに腰を落とし込むような姿勢となりますが、それが「守られ感」にも通じる包まれたフィーリングを生み出しています。この安心感と一体感こそ、開発陣が狙ったドライバーファーストの思想の体現と言えるでしょう。
GR GTには後部座席はありません。乗車定員は2名のみで、思い切った2シーター構成とすることで
車体剛性の確保や軽量化に振り切った設計です。

以上、TOYOTA GAZOO Racingの新型「GR GT」について、そのこだわりの装備をご紹介しました。モータースポーツ直系の技術と情熱が注ぎ込まれたGR GTは、2027年頃の発売に向けてさらなる開発が続けられています。正式発表時には今回お伝えしきれなかった細部のスペックや追加情報も明らかになるでしょう。トヨタが送り出す新たなスーパースポーツとしてどのような走りを見せてくれるのか、非常に楽しみです。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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