本記事の内容について
今回の記事では、先日、富士スピードウェイにて行われたスープラの全国オフ会の会場に展示されていたスープラのコンセプトカーと噂されていたFT-1の内外装紹介を、あわせて開催されていたスープラデザイナーの方の開発秘話にもとづいて紹介してきます。
かなり貴重な車であると思いますので、ぜひとも皆さんにシェアしたいと思います。それではご覧ください。
FT-1内外装紹介
FT-1は2014年のデトロイトモーターショーにて発表されたコンセプトカーとなっており、今となっては随所にスープラとの共通性を感じられ、スープラのコンセプトカーであった点に疑いはないところですが、開発中のお話によると、こちらのFT-1はFuture-Toyotaの略称の示す通り、未来のトヨタのFRフラッグシップスポーツカーはどうあるべきかをコンセプトに掲げ、デザインされたそうです。
実際、この車がデザインされたタイミングでスープラがBMWとの協業によって復活するかもしれないという話は並行して持ち上がっていたそうですが、最終的にこちらのコンセプト案とスープラの復活がうまく結実し、今のスープラが誕生したとのことです。
当初、スープラをイメージしてデザインをしたつもりがなかったという話の裏付けとして大きく二つのポイントがコンセプトカーを見ていてわかりました。
一つ目はパワートレーンについてです。
FT-1はコンセプトカーらしく、ボンネットがエンジンを主張するように一部透明になっており、
エンジンの様子をのぞき込むことができました。
そのエンジンがこちらであり、エンジンカバーでおおわれていることで気筒数などはわかりませんが
よくみると吸気の経路であるエアクリホースが分岐していることがわかります。
直列6気筒エンジンであれば、吸気の流入は一か所だけであるため、もちろん縦置きのFRレイアウトであることは間違いありませんが、この車はV型エンジンの搭載を想定していたことがわかり、タイミング的にはRC-Fなどに搭載している2URエンジンなどがその候補であったかもしれません。デザイナーの方もスープラといえば直6といわれていたので、FT-1との大きな差別化ポイントといえそうです。
もうひとつがサイズです。
FT-1のサイズは今のスープラと比較すると二回り近く大きなサイズとなっており、現行のトヨタ・レクサス車と比較すると最も近いサイズ感の車はレクサスのLCだそうです。
現地で実車をみると確かにスープラと比較してもその迫力は圧倒的であり、まさにフラッグシップといって差支えのないフォルムとなっています。
当初、このコンセプトカーがスープラを想定していなかったとしても世間の目としてはスープラの復活を予感させた要因としては随所にトヨタが世に出してきたトヨタらしいスポーツカーの要素が織り込まれていたからであると思われます。特にサイドのシルエットはトヨタ2000GTを彷彿とさせるものとなっています。
フロントフェイス周りは特にライトユニット、グリルの開口、リップスポイラーの形状が現行のスープラに色濃く引き継がれている部分であり、ダクトがしっかり開口されていたり、ライトユニットがひとつひとつが分離したものとなっているなど、コンセプトを再現しきれていないものなどありますが、スープラとの共通性を強く感じます。
最も大きな違いとなっている点がフロントノーズの形状であり、空力を最優先とした突き出たノーズ形状がスープラではオミットされてしまい、フロントフェイスの印象を大きく変えている部分ではありますが、この変更は冷却性能の担保のため変更を余儀なくされた部分だそうで、FT-1の形状ではエンジンの冷却性能を満足することができないそうです。機能性と見た目の両立の難しさを感じるところですが、デザインの面白いところでもあるかなと思います。
サイドの個別の要素としてはドア横のエアアウトレットの要素やボンネットのエアアウトレットなど
一部別パーツで再現されているところはありますが、ほぼスープラで再現されているところかと思います。やはりホイールベースの長さの違いが如実に表れており、FT-1のロングホイールベースを生かした
伸びやかなシルエットはグランドツーリングカーの側面も併せ持ったシルエットを形成しており、フラッグシップの雰囲気をまとったものとなっています。
ただ、こちらもスープラの場合、ショートホイールベースはトレッドとの比率を考慮したコーナリング性能の担保のために導き出されたものとなっており、スープラの実現したかった走りのためのディメンションとなっていることがポイントかと思います。
ちなみにホイールデザインはこのようになっており、マットブラックのフィン形状のホイールが採用され、ブレーキキャリパーカラーもブラックと、足回りもどことなくスポーツ一辺倒というよりもラグジュアリーな見せ方も考慮されたものとなっています。
リアデザインも各要素は現行のスープラでほとんど採用されたものとなっていますが、そのひとつひとつがアグレッシブなものとなっており、より幅広なフォルムから絞り込まれたリアフェンダーの盛り上がりや、リアタイヤが透けて見えそうに大きく開口されたエアアウトレット、より立体的に装着されたテールライト、バンパーに埋め込まれたマフラーエンドなど、コンセプトカーだからできる理想的なスポーツカーの要素が詰め込まれたものとなっており、改めて実車をみることができたことに感謝です。
内装もみることができ、スイッチの配置など、かなりコンセプトカー然とした配置となっていることで
スープラとはかなり乖離があるようにみえ、ハンドル周辺の操作系のみですべての操作が行えそうな
運転席というよりも戦闘機のコックピットのようなハンドルまわりが非常にかっこいいですね。
現行のスープラの内装とはかなり乖離がありますが助手席と隔離するための壁があったり、包まれ感を演出するための配色や素材による分離など、スープラに生かされている部分があり、スープラの水平基調の内装は実際にサーキットを走りながら編み出された機能性に基づいたものでもあるそうなのでどちらも魅力的な内装であるかと思います。
改めまして過去動画でもお話ししたように私がスープラを欲しいと思うきっかけにもなった一台であったので実車をみることができ、非常に感動したとともにこのような機会を設けていただいた本オフ会の運営の方たちに感謝申し上げます。
自分の愛車のコンセプトカーということで違いに多く気づくこともでき、その違いが生まれた背景もデザイナーの方からうかがうことができたので以降のコンセプトカーを見る目を養うことができたという意味でも非常に意義あるものであったかと思います。
ご覧いただいた皆様に少しでもFT-1のかっこよさが伝われば幸いです。それではご視聴ありがとうございました。
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